「銀くんは育ちざかりなんだから、ちゃんと食べさせてあげないと」
「たまにレトルトカレーも食べますよ」
自信満々に言う彼に、ため息が出る。
「それじゃあダメだよ。今日の晩ご飯は?」
「僕はまだですけど、遅くなると電話しておいたから銀はラーメンでも食べたんじゃないかと」
「あのさ、面倒を見るのは十文字くんのほうだからね。私は二、三歳違うだけの弟さんが出てくるとばかり思ってたわよ」
腰が抜けていたというのに、彼のダメっぷりを見ていたらいつもの調子が戻ってきた。
「冷蔵庫、開けていい?」
「はい」
許可をもらい冷蔵庫をのぞくと、牛乳と卵、そしてソーセージ。あとはマヨネーズやケチャップといった調味料がある。
いや、それしかない。野菜の類はまったくない。
「お米はある?」
「はい、お米だけはたくさん」
「それじゃあオムライス作るからちょっと待ってて。まずはご飯炊かないと」