すると腰が抜けて立つことすらままならない私を、銀髪の男が片手でヒョイッと抱きかかえたあとダンと地面を蹴って飛び上がり、もののけたちの中心からいとも簡単に連れ出してくれた。

もののけたちから離れた場所に私を下ろした彼は、両肩に手を置く。


「必ず助ける。俺を信じろ」


涙があふれてきて彼の顔がよく見えない。

怖くて声が出せない私は二度小さくうなずいた。
どこの誰だかわからないが、彼を信じるしかない。


「なにしてる」


出し抜かれたもののけたちに深沢さんが冷たく言い放つと、再びこちらに向かってくる気配がする。


「しょうがねぇな」


あきれ声を出す銀髪の男は、天に向かって右手を挙げた。
すると、その手に青白い稲妻のようなものが落ちて緊張が走る。

雷が落ちた? 大丈夫?


涙をごしごし拭いて確かめると、私に背を向けた彼はなんのダメージも受けていないように見える。

そして手には、先ほどはなかった剣が握られていた。