「僕は……。甘いコーヒーを飲んでいました」
「想像通り」
「はいっ?」


小声でのつぶやきを拾われて「なんでもない」と付け足す。


「篠崎さんは、ブラックを飲む男が好きなんですか?」


まさか逆に質問されるとは。


「うーん。高校生くらいの頃はかっこいいと思ってたかもね。でも、今はどうでもいいや」


最近はそんなことに目が行かない。

というか……男運が悪くて彼氏もいない私には、コーヒーをブラックで飲む人でないとダメなんて余計なチェック項目を加える余地はない。


「そう、ですか。よかった」


よかったって? 

よく意味がわからなかったが、十文字くんはそういうことも多いので黙っておいた。