深沢さんは私が襲われている様子を腕を組んで眺めている。


「離して! 嫌ーっ!」


爪が食い込んできて痛くてたまらない。

どうしたら逃げられる?

痛みと恐怖で視界がにじんだそのとき、ドンと雷が落ちたような大きな音がして、すさまじい風が起こった。

そちらに視線を向けると、閉鎖された空間の天井に大きな穴が開いていて、さっきまで見えていた星が瞬く空がのぞいている。

そしてすぐに空からなにか落ちてくる。
……あれは、人だ。


私の前にスタッと見事に着地し、「こいつに触れるな」と地に響くような声で言い放ったのは、あの銀髪袴姿の彼だった。

助けに来てくれたの?

彼はまず、私の首に爪を立てている男の子を手ではたいた。


「かまわん。続けろ」


しかし不敵な笑みを浮かべる深沢さんが命令を下すと、一旦は距離を取りつつあったもののけたちがまた私をめがけてやってくる。