今度は、気色の悪いもののけたちが私たちの周りをぐるりと取り囲んでいる姿が飛び込んできた。
あのカエルを筆頭に、おどろおどろしい顔が浮かび上がる火の玉や一本角の鬼などのすさまじい数のもののけを前に、完全に腰が抜けてへなへなと座り込む。
「え……。えっ……」
もう言葉にならない。
「抑えておいてやったのに。今からでも遅くない。俺の嫁になるか?」
嫁になるならこのもののけたちを消してやると?
やっぱり私、男運最悪だ。
「なりません」
うなずいてしまいそうになるほど追い詰められていたが、首を縦に振れるわけがない。
そのとき、とあることに気づいてサーッと血の気が引いていく。
もしかして、『ザコたちが従わざるを得ないほど力を持ったもの』って彼自身?
寄せつける体質ではなく、彼自身がもののけだったら……。
そう考えるとふたりきりになったり触れられたりするたびに体が重くなった説明もつく。