不敵な笑みを浮かべて淡々と話す深沢さんだが、私はその意味をよく理解できない。
「待てない?」
一体なにを?
「そう。散々邪魔をされて、腹を立てているんだ。そろそろ本気を出してきたってこと」
「その、力を持ったもののけがですか?」
尋ねると、彼は深くうなずいた。
「どうして、そんなことがわかるんですか?」
「篠崎さんはもののけのことばかりだね。せっかくのデートなのに」
「ごめんなさい」
こんな相談ができる人が他にはいないので、デートだということがすっかり頭から飛んでいた。
謝ったものの、彼の言葉が気になってデートどころではない。
今までにないような強い力を持ったもののけが背後から糸を引いて多数のもののけたちを操り、私を弱らせようとしている。ということよね。
でも、どうして弱らせようとしているの?
時が満ちたって、なに?
質問したいことだらけなのに、牽制されてしまったので言いだせない。