思い切って告白したが、彼は驚く様子もない。
「深沢さんも、見えていますよね」
「そうだね。よく見える。君にまとわりついているもののけたちが」
彼が私の背後に視線を移して言うので、背筋が凍る。やっぱりいるんだ。
「私、なにかがいるのはわかるんですけど、今日は見えないんです。いつもは見えるのに、どうしてだろう……」
「それは、姿を隠したまま近づいてじわじわ弱らせろと命令しているものがいるんじゃないかな?」
達観したような彼の言葉に目を瞠る。
「命令?」
「そう。もののけの世界にもヒエラルキーがある。下のザコたちが従わざるを得ないほど力を持ったものがね」
ヒエラルキー?
それじゃあ、ラスボスみたいなすごいもののけが背後にいるってこと?
だから最近は振り切れないの?
「え……」
「時が満ちたってことだよ。もうこれ以上は待てないってこと」