「えっと……」
「ごめん。強引すぎるね。とりあえず食事にでも行かない? 金曜はどうかな?」


私はどうしようか考えあぐね、断るとしても、もう少し彼のことを知ってからでもいいかもしれないという気持ちと、もののけについて話をしてみたいという思いが強く、承諾の返事をした。



そして金曜がやってきた。

約束をした日から、深沢さんとプライベートの会話をするのは初めてだ。

というのも、十文字くんがいっそうぴったりくっついているようになり、給湯室に行くときまでそばにいるからだ。

そのため、デートのお誘いも社内メールで来た。
そういえば、連絡先の交換ですらまだだった。


【十九時に駅の西口で待ってる】


私たちがいつも使うのは東口。
目立たないようにあえて西口にしてくれたのかもしれない。


十八時四十分くらいになると、深沢さんが先に出ていく。
私もパソコンの電源を落とそうとすると、十文字くんが話しかけてきた。