視線を絡めて熱く訴えられては、心臓が拍動を速める。
こんなに男らしい告白をされたら、心も揺らぐ。
この人なら大丈夫なのでは?と信じたくもなるが、十文字くんがひたすら拒否するのが引っかかっている。
彼は串さとのときも、新規開拓に反対気味だった。
しかも私の押しに負けて言えなかったが、反対するだけの根拠を押さえていた。
もしかして、私の知らない深沢さんの顔を知っていたりして……。
気持ちをぶつけてくる深沢さんより、十文字くんの意見が頭に浮かぶのが自分でもおかしいのはわかっている。
しかし十文字くんは、へっぴり腰で押しが弱くてだらしがなくて、せっかく整えた髪形や洋服が無駄になってしまいそうなほど〝冴えない〟のに、純粋で嘘はつかず、誠実なのだ。
そんな彼があれほど〝近づくな〟と警告してくるのがどうにも腑に落ちない。
深沢さんに怒っているわけでも、世話係と化している私を取られるという不安からでもないような、なにかを感じる。