「別の病院にも行ってみたら? ちょっと、変だよ?」
「はい」
渋々うなずいている彼は、なにかを思いついたかのようにハッとして私を凝視してくる。
「篠崎さん、顔が真っ青です」
「えっ? そう?」
真由子にも『疲れた顔してる』と指摘されたが、そんなにひどい?
気になり、カバンの中からコンパクトを取り出して顔を映してみる。
するとそこには、げっそりと頬がこけた自分がいて驚いてしまった。
「あ……。ひどいね。疲れたのかな。んっ?」
唐突に十文字くんが私の腕をつかむので、コンパクトを落としそうになる。
あれ?
でも……急速にだるさが抜けていくような。
彼が私の腕から手を離した頃には、すっかり体調も元通り。
さっき深沢さんと話していたときは、体が押しつぶされそうなほど重かったのに。
あれはもののけの仕業、だったの?
それにしても深沢さんも見えるようなことを言っていた。
しかも、助けられると。
あれはどういうことだろう。