「わっ」
しかしうまくいかず私はうしろにひっくり返り、彼が覆いかぶさる形になってしまう。
お、重い……。
意外とがっしりしている体に潰されそうだ。
「じゅ、十文字くん? 大丈夫? ね、目を覚まして?」
彼の肩を数回揺さぶると、ようやく目を開いた。
「あぁぁぁぁ、なにしてるんですか?」
「え?」
すさまじい勢いで体を起こした彼は、その反動で尻もちをついている。
「なにって……。十文字くんが急に意識を失うから……」
その言い方では、私が襲ったみたいじゃない?
「す、すみません」
いつもの彼に戻ってる。
このどことなく冴えない姿にホッとするのが複雑だ。
「なんでここに……」
ボソッとつぶやく彼は、辺りをキョロキョロ見回している。
「それは私が聞きたいよ」
帰ったとばかり思っていたのに。
それに、また記憶が飛んでいる?
ゆっくり立ち上がると、彼も同じように立った。
「今、なにがあったか覚えてる?」
「……いえ」
やっぱり。