そういえば……この倦怠感はもののけに遭遇したあとに似ている。

まさか、どこかにもののけがいる?

いつもは雰囲気でわかるものの、最近出現パターンが変化しているし、なにがあってもおかしくない。

目を動かして周辺をチェックしたが、それらしき姿はない。
わざとボールペンを落として背後も確認したが同様。

考えすぎか……。

カエルに首を絞められた恐怖と、男の子に爪を立てられたときの痛みが鮮明に思い出されるので、疑心暗鬼に陥っているのかも。


「篠崎さん、どうかした? 顔色が悪いよ? 働きすぎじゃない?」

「大丈夫です。ちょっと寝不足でしょうか。ははは」


適当にごまかして、再びパソコンに向かう。


「あっ、コーヒー淹れましょうか?」
「ありがとう。お願いするよ」


しかしやはり休憩したくて、深沢さんに提案したあと給湯室に向かった。


「どうしたんだろ」


体が重くてすぐにでも横たわりたいほどだ。