「風邪ひいた?」
体力には自信があるほうだし、滅多に風邪なんてひかないのに。
疲れが蓄積しているのかな。
私はパソコンのキーボードから一旦手を離して、うーんと伸びをしてからもう一度作業に没頭し始めた。
一時間半ほどして深沢さんが古巣の商品開発部からどっさりと役に立ちそうな資料を持ってきてくれた頃には、ますます体調が悪化していた。
しかし、心配をかけまいと笑顔を作り会話をする。
「こんなにたくさん。私が営業に使いたいツールがいっぱいです」
「もちろん使ってくれていいよ。新人だけでなく、営業全員が使いやすいツールを作れるといいよね」
彼は真剣に考えだしたが、私は座っているのがつらくなり冷や汗をたらしていた。
まずいな。どうしたんだろう、私。
体が熱いということもないので発熱しているわけでもなさそうだし、吐き気や頭痛といった症状もない。