ただ、今朝のように完全に私のコピーで、しかも押しが弱すぎる。

売りたい気持ちを持つように伝えてからは気にしているようだけど、性格が性格なのでなかなかうまくいかない。

私が新人教育を担当するのはまだ二人目だが、それぞれに合わせて指導方針を変えるのも簡単ではないと感じている。


「そうだね。他社との差別化ポイントは一番重要だ。といっても、ガイアビール辺りは、マンパワーと経費をたっぷりかけてくるからなぁ……」


深沢さんは顎に手をかけて考え込んでいる。


「そうですね。脅威です。でもうちは丁寧なフォローアップを売りにすればいいと思いますよ。私の担当先でもガイアは横柄で苦手だとおっしゃっている方もいましたし。十文字くんなんかは話すのはうまくないですけど、棚を作らせたらガイアにも劣らないんです。そういう面を押し出し――」

「随分十文字くんに肩入れしているんだね」


彼にふっと笑われて、なんとなく気まずくなった。