だらしがない感じは十文字くんも同じだけれど、彼の場合は計算されただらしなさだ。
ちょっと悪い感じが漂う男って魅力的なのよね。
って、高校生相手に胸を高鳴らせている私は痛いかも。
「あ……」
彼に見惚れていると、その背後から大きなカエルが現れた。
座っていても私の腰の位置くらいはあるかなりの大きさで、ペロッと長い舌を伸ばすさまや、てらてらと光る体は〝気持ちが悪い〟のひと言だ。
私は昔から、人ならざるものが見えてしまう。
このカエルはおそらく、〝もののけ〟と言われる類のものだ。
幼い頃は、当然他の人にも見えていると思っていたので、怖くもなんともなかった。
しかしある日、もののけに「こんにちは」と言ったら、父や母に「誰と話しているの?」と気味悪がられて、自分にしか見えていないことを知った。
それでも初めは危害を加えられるようなことはなく空気のような存在だったが、そのうち付きまとわれるようになってしまった。