「彼は少し人見知りなところがあって、今、克服中なんです。もう少し待っていただけませんか？」

「篠崎さんが優秀な営業だということは耳に届いています。ですが、十文字くんがずっとあなたに頼りきりなのがよくないのかもしれませんね。自分でやらなくてもよくなってしまう」


何度も十文字くんを先立たせてはみるものの、どうしても口を挟まなくてはならないことが多いのは認める。


「それに、篠崎さんには私の仕事を少し手伝っていただきたくて」
「え？」


寝耳に水で、目が点になる。


「いきなりひとりというのも難しいでしょうから、少しずつ篠崎さんから離れてください。その分篠崎さんは私のサポートに。課長からも了承を得ています」

「サポートって、なにを……」


どうして私？　
ほかに先輩たちもたくさんいるのに。なんなら、新人がついていない真由子だって。


「なるほど」