「真由子、彼氏はどうしたの?」


四カ月くらい前から合コンで捕まえた銀行マンと付き合っていたはずなのに。


「ん? 別れた」
「聞いてないよ?」
「言ってないなぁ」


なにとぼけてるのよ。
真由子もあまり交際が長続きしない。


「なにがあったの?」
「んー。食事に行くと、一円単位まで割り勘にするのよね」
「嘘……」


全部男性に払ってほしいとも思わないし割り勘でもいいが、それはさすがに引くかも。


「銀行マンだから仕方ないかなと思って。でも私は無理だから別れたの」


なるほど。銀行マンらしいと言えばそうだが、世の銀行マンが全員きっちり割り勘なわけでもないだろう。


「だから傷心で」


というほど落ち込んでいるようにも見えないけど。


「わかった。でも、私はいいから話しておいでよ」


居酒屋で深沢さんとは少し離れた席に陣取った私は、彼女の背中を押した。