「え……」


米山さんは何度も瞬きを繰り返して言葉をなくす。
そうか、見た目が変わりすぎてわからなかったのか。


「ちょっとイメチェンしまして。こちらのほうがよくないですか?」


軽い気持ちで口にすると、米山さんはカクカクうなずいている。


「これはびっくりだな。こんなにいい男なのに、どうして今まで隠してたの? あぁ、言い寄られすぎて困るとか? 言ってみたいね、そんなこと」

「そ、そんなことは……」


十文字くんはいじられるのが照れくさいようで、いつもよりさらに声が小さい。

せっかくウケがいいんだから、シャキッとしなさい、シャキッと!


「そんなこと言いながら、米山さんもモテモテだったんじゃないですか? 米山さん、本当にお優しいし話しやすくて助かっているんです」


横柄な態度を取ってくるクライアントが多数いる中で、彼の話しやすさは群を抜いている。