言われてみれば、これまであっちの世界で食事やおやつにパンケーキが出てきたことは無かった。
御國だった頃に住んでいた世界と、マキウスと住んでいる世界は、食文化がかなり似ている。
名称がたまに違うことはあるが、ほとんどは洋食であった。
それもあり、パンケーキ自体はあっちの世界にも存在していて、ただ何らかの理由があって、食事に出てこないだけだと思っていた。ところが、そもそもパンケーキ自体が存在していなかったらしい。
もしかしたら、パンケーキのように、他にも存在していない料理があるのかもしれない。
「じゃあ、せっかくなので食べてみて下さい! 美味しいですよ!」
パンケーキはかつてモニカが最後に食べた時と同じ見た目だけではなく、味も最後に食べた時と同じ味が再現出来ていた。
ただ、マキウスと同じ視覚や嗅覚を共有出来ても、味覚まで共有出来るかはわからない。
それでも、マキウスにも味わって欲しかった。
モニカがこれまで、どういう世界で生きてきて、どんなものを見聞きして、どんなものを味わってきたかを。
「パンケーキはリコッタチーズを使っているだけあってフワフワですし、生クリームもほどよい甘さです!
いちごとベリー甘酸っぱさは、パンケーキを甘くさせすぎず、飽きさせませんし、ベリーソースや蜂蜜も美味しいです!」
「そ、そうですか……。そこまでおっしゃるなら、モニカの言葉に甘えていただきます」
マキウスはモニカの見様見真似で、パンケーキを切り分けると、生クリーム、ベリーソース、蜂蜜をつけると、いちごを一切れ乗せて、口に入れたのだった。
「ど、どうですか……?」
恐る恐る聞くと、ゆっくり咀嚼していたマキウスは、やがて目を輝かせたのだった。
「これまで、この様な美味なるものを食べたことはありません。貴女の世界には、こんな美味なものがあるんですね……!」
「他にもまだまだありますよ。もっと美味しいものや甘いもの。いつかマキウス様にも食べていただきたいです」
ふと、マキウスはフォークとナイフを止めると、疑うようにモニカを見つめた。
「ところで、何故、私が甘いものが好きなのを知っているんですか?」
「知っているといいますか……。いつも紅茶を飲む時、砂糖を大量に入れているので、てっきり甘いものがお好きなんだと思っていました」
初めてヴィオーラが屋敷に来た日もそうだったが、いつもマキウスは紅茶を飲む時、最初の一口目だけはそのまま飲み、二口目以降は大量の砂糖を紅茶に入れて、甘くして飲んでいた。
マキウスの姉のヴィオーラも、同じ様に最初の一口目だけはそのまま飲み、二口目以降は大量のミルクを入れて飲んでいた。
姉弟だからというのもあるが、それにしてもマキウスは紅茶に溶け切れないくらいに砂糖を入れ、ヴィオーラはカップから溢れそうになるくらいミルクを入れるので、最初に見た時は驚いたものだった。
「最初の一口だけはそのまま飲んで、それからお砂糖を入れますよね。ストレートティーを飲んでいるところは、見たことないような……?」
「そ、それは……」
マキウスは顔を赤らめると、視線を逸らした。
何気なく視線の先を追いかけると、数人の女性たちがモニカたちと同じ様にパンケーキを食べながら、話の花を咲かせていたのだった。
御國だった頃に住んでいた世界と、マキウスと住んでいる世界は、食文化がかなり似ている。
名称がたまに違うことはあるが、ほとんどは洋食であった。
それもあり、パンケーキ自体はあっちの世界にも存在していて、ただ何らかの理由があって、食事に出てこないだけだと思っていた。ところが、そもそもパンケーキ自体が存在していなかったらしい。
もしかしたら、パンケーキのように、他にも存在していない料理があるのかもしれない。
「じゃあ、せっかくなので食べてみて下さい! 美味しいですよ!」
パンケーキはかつてモニカが最後に食べた時と同じ見た目だけではなく、味も最後に食べた時と同じ味が再現出来ていた。
ただ、マキウスと同じ視覚や嗅覚を共有出来ても、味覚まで共有出来るかはわからない。
それでも、マキウスにも味わって欲しかった。
モニカがこれまで、どういう世界で生きてきて、どんなものを見聞きして、どんなものを味わってきたかを。
「パンケーキはリコッタチーズを使っているだけあってフワフワですし、生クリームもほどよい甘さです!
いちごとベリー甘酸っぱさは、パンケーキを甘くさせすぎず、飽きさせませんし、ベリーソースや蜂蜜も美味しいです!」
「そ、そうですか……。そこまでおっしゃるなら、モニカの言葉に甘えていただきます」
マキウスはモニカの見様見真似で、パンケーキを切り分けると、生クリーム、ベリーソース、蜂蜜をつけると、いちごを一切れ乗せて、口に入れたのだった。
「ど、どうですか……?」
恐る恐る聞くと、ゆっくり咀嚼していたマキウスは、やがて目を輝かせたのだった。
「これまで、この様な美味なるものを食べたことはありません。貴女の世界には、こんな美味なものがあるんですね……!」
「他にもまだまだありますよ。もっと美味しいものや甘いもの。いつかマキウス様にも食べていただきたいです」
ふと、マキウスはフォークとナイフを止めると、疑うようにモニカを見つめた。
「ところで、何故、私が甘いものが好きなのを知っているんですか?」
「知っているといいますか……。いつも紅茶を飲む時、砂糖を大量に入れているので、てっきり甘いものがお好きなんだと思っていました」
初めてヴィオーラが屋敷に来た日もそうだったが、いつもマキウスは紅茶を飲む時、最初の一口目だけはそのまま飲み、二口目以降は大量の砂糖を紅茶に入れて、甘くして飲んでいた。
マキウスの姉のヴィオーラも、同じ様に最初の一口目だけはそのまま飲み、二口目以降は大量のミルクを入れて飲んでいた。
姉弟だからというのもあるが、それにしてもマキウスは紅茶に溶け切れないくらいに砂糖を入れ、ヴィオーラはカップから溢れそうになるくらいミルクを入れるので、最初に見た時は驚いたものだった。
「最初の一口だけはそのまま飲んで、それからお砂糖を入れますよね。ストレートティーを飲んでいるところは、見たことないような……?」
「そ、それは……」
マキウスは顔を赤らめると、視線を逸らした。
何気なく視線の先を追いかけると、数人の女性たちがモニカたちと同じ様にパンケーキを食べながら、話の花を咲かせていたのだった。