「ありがとうございます。ヴィオーラ様」
「これくらい、子供の頃に散々やっていましたからね。慣れています」
「そうなんですか? それは意外です」
「これでも子供の頃は、女らしからぬことを数え切れないくらいやって、よくペルラに怒られていたものです」

 子供の頃の数々のイタズラやペルラに怒られた日々を思い出しそうになって、「ところで」とヴィオーラは話題を変えた。

「ニコラさんは大丈夫でしたか?」

 ヴィオーラが顔を覗き込むと、義妹(いもうと)は、「はい」と頷いたのだった。

「オムツ替えをした時に熱を計りましたが、いつもより体温が高かったので、念の為に休ませています。アマンテさんがニコラを見ていてくれるそうなので、そのままお願いしてきました」
「それは、心配ですね……」

 眉を寄せるヴィオーラに、モニカは苦笑した。

「赤ちゃんは体調を崩しやすいので、仕方がないと思います」
「そうですか? それだけなら良いのですが……」

「ああ、それよりも」

 ヴィオーラがモニカに向かって手を伸ばすと、モニカは反射的に目を瞑って、首を竦めたようだった。
 子供の頃のマキウスと同じ様に、殴られるとでも思っているのか、どことなく怯えているようにも見える。
 そんなモニカを怖がらせない様に、ヴィオーラは昼間の陽光の様なモニカの金の頭にそっと触れたのだった。

「私が木に登った衝撃で、木の葉が何枚か落ちてしまったようです。
 モニカさんの頭にもついてしまって……」

 迂闊だった。木に登る前に、木から離れるように言うべきだった。
 もしかしたら、先程のティカの頭や服にも木の葉をつけてしまったかもしれない。

 軽く自己嫌悪に陥りながら、ヴィオーラはモニカの頭や服についた木の葉を取り除いたのだった。