「失礼します。モニカ様、ヴィオーラ様」
しばらして、アールグレイティーの様な香りのする紅茶にヴィオーラが口をつけたところで、ニコラを抱いたアマンテがやって来た。
「アマンテ! 息災のようでなによりです」
「ご無沙汰しております。ヴィオーラ様」
ヴィオーラとアマンテは顔を合わせると微笑んだのだった。
(そういえば、マキウス様が子供の頃はよく四人で遊んでいたって言っていたっけ)
仲睦まじい様子から、二人が知己の仲だったことを思い出して、会話に耳をすませる。
「ペルラから聞いています。マキウスの屋敷でしっかりやっていると」
「ありがとうございます!」
「たまには我が家にも来て下さいね。アガタとセルボーンも会いたがっていました」
モニカの為に説明してくれたヴィオーラによると、ペルラと、ペルラの夫のセルボーン、アマンテとアガタの一家は、代々ブーゲンビリア侯爵家に仕えている使用人一族らしい。
マキウスが王都に戻り、更にモニカが妊娠したのを機に、育児経験があり、姉弟の乳母だったペルラと、乳母として適任であったアマンテを、ヴィオーラが屋敷に寄越してくれたとのことだった。
それ以外でも、ティカやエクレアなどの使用人は、ヴィオーラが選んでくれたらしい。
「お気遣いありがとうございます。ヴィオーラ様。近々、妹と父に会いに行きたく思います」
「ええ。お待ちしています。その、腕に抱いている子が、ニコラさんですか?」
ヴィオーラがモニカに視線を移すと、モニカは頷いた。
「はい! ヴィオーラ様。この子がニコラです」
「モニカさんに似て、とても可愛い赤子ですね。確か、四か月になるんでしたね」
「そうです!」
アマンテからニコラを受け取り、モニカ似と言われた小さな顔を覗き込む。
ニコラは父親や伯母と同じ色の瞳で、ヴィオーラを興味深そうにじっと見つめていたのだった。
「ヴィオーラ様、ニコラを抱いてみませんか?」
「よろしいのですか?」
「はい! 勿論です!」
モニカがニコラを差し出すと、初めてニコラを抱いたマキウスと同じく、剣を受け取るかのように、ヴィオーラは両手で大切そうにニコラを受け取った。
けれども、抱き方がわからないのか、なかなかニコラの首が安定しなかった。
アマンテに教えてもらいながら、なんとかヴィオーラはニコラを抱いたのだった。
「可愛いものですね」
「そうですよね!」
やがて、ヴィオーラは余裕が出てきたのか、腕の中のニコラに笑いかけ、ニコラもそれを真似して笑みを浮かべたのだった。
どうも、ニコラは人見知りをあまりしないようで、モニカやアマンテ以外の人が抱いても泣くことが滅多になかった。
暴れないのはいいのだが、人見知りしないのは、それはそれで不安になる。
ニコラを微笑ましく思いながら、お茶菓子のクッキーを食べていたモニカは、そっとアマンテに目配せをした。
すると、アマンテは心得たという様に頷くと、部屋を出たのだった。
しばらして、アールグレイティーの様な香りのする紅茶にヴィオーラが口をつけたところで、ニコラを抱いたアマンテがやって来た。
「アマンテ! 息災のようでなによりです」
「ご無沙汰しております。ヴィオーラ様」
ヴィオーラとアマンテは顔を合わせると微笑んだのだった。
(そういえば、マキウス様が子供の頃はよく四人で遊んでいたって言っていたっけ)
仲睦まじい様子から、二人が知己の仲だったことを思い出して、会話に耳をすませる。
「ペルラから聞いています。マキウスの屋敷でしっかりやっていると」
「ありがとうございます!」
「たまには我が家にも来て下さいね。アガタとセルボーンも会いたがっていました」
モニカの為に説明してくれたヴィオーラによると、ペルラと、ペルラの夫のセルボーン、アマンテとアガタの一家は、代々ブーゲンビリア侯爵家に仕えている使用人一族らしい。
マキウスが王都に戻り、更にモニカが妊娠したのを機に、育児経験があり、姉弟の乳母だったペルラと、乳母として適任であったアマンテを、ヴィオーラが屋敷に寄越してくれたとのことだった。
それ以外でも、ティカやエクレアなどの使用人は、ヴィオーラが選んでくれたらしい。
「お気遣いありがとうございます。ヴィオーラ様。近々、妹と父に会いに行きたく思います」
「ええ。お待ちしています。その、腕に抱いている子が、ニコラさんですか?」
ヴィオーラがモニカに視線を移すと、モニカは頷いた。
「はい! ヴィオーラ様。この子がニコラです」
「モニカさんに似て、とても可愛い赤子ですね。確か、四か月になるんでしたね」
「そうです!」
アマンテからニコラを受け取り、モニカ似と言われた小さな顔を覗き込む。
ニコラは父親や伯母と同じ色の瞳で、ヴィオーラを興味深そうにじっと見つめていたのだった。
「ヴィオーラ様、ニコラを抱いてみませんか?」
「よろしいのですか?」
「はい! 勿論です!」
モニカがニコラを差し出すと、初めてニコラを抱いたマキウスと同じく、剣を受け取るかのように、ヴィオーラは両手で大切そうにニコラを受け取った。
けれども、抱き方がわからないのか、なかなかニコラの首が安定しなかった。
アマンテに教えてもらいながら、なんとかヴィオーラはニコラを抱いたのだった。
「可愛いものですね」
「そうですよね!」
やがて、ヴィオーラは余裕が出てきたのか、腕の中のニコラに笑いかけ、ニコラもそれを真似して笑みを浮かべたのだった。
どうも、ニコラは人見知りをあまりしないようで、モニカやアマンテ以外の人が抱いても泣くことが滅多になかった。
暴れないのはいいのだが、人見知りしないのは、それはそれで不安になる。
ニコラを微笑ましく思いながら、お茶菓子のクッキーを食べていたモニカは、そっとアマンテに目配せをした。
すると、アマンテは心得たという様に頷くと、部屋を出たのだった。