「急ぎと聞いていたので、これしか用意が出来ませんでした。もし、デザインが気に入らなければ、別の形に変えて下さって構いません」
ヴィオーラによると、この青色の石が魔法石となっており、この魔法石さえあれば、土台となるデザインはどんな形でもいいらしい。
その際に、魔法石を抑制する呪文を刻むことを忘れなければ。
特にアクセサリー系は持ち運びしやすく、オシャレな点から、男女問わず人気のデザインらしい。
「ありがとうございます。ヴィオーラ様」
モニカは早速、指輪をはめた。
指輪は左手の薬指にピッタリと収まったのだった。
「最初の魔力は、必ずマキウスから貰って下さい。そうすることで、魔法石もマキウスを認識します」
「ありがとうございます。マキウス様が帰宅したら、早速、お願いしてみます!」
モニカが指輪を眺めて目を輝かせていると、ヴィオーラは背筋を伸ばすと、「それから」と続けたのだった。
「どうしても、モニカさんとお話ししてみたかったのです」
「私……ですか?」
ヴィオーラの真剣な表情に、何を言われるのかとモニカが身構えていると、ヴィオーラは深いため息をついたのだった。
「実は、弟のーーマキウスのことで、話をしてみたくて」
「マキウス様のことですか?」
「ええ。マキウスはどうですか? モニカさんから見て」
モニカは普段のマキウスの様子を思い浮かべながら答える。
「そうですね……。素晴らしい旦那様だと思いますよ。顔や性格も良いですし……。仕事だけではなく、家庭やニコラのーー娘の育児にも協力的で」
この世界でも、元の世界と同じで、夫は家庭や育児を妻に任せきりで、仕事にばかり力を入れているらしい。
それに対してマキウスは、ペルラやアマンテから見れば、家庭や育児にかなり協力的だということだった。
「それは当然です。その辺りはマキウスが子供の頃に、私がしっかりと躾けましたからね。
お父様が家庭を放っていた所為で、私のお母様とマキウスのお母様の仲は酷くなったようなものですからね。
全く、お父様ときたら……」
どうやら、ヴィオーラとマキウスの父親である当時のブーゲンビリア侯爵は、正に家庭を顧みない典型的な夫だったらしい。
「はあ、それは大変でしたね……」
力説するヴィオーラにモニカは苦笑した。
すると、ヴィオーラは「そうではなく」と首を振ったのだった。
「マキウスは、私のことをどう言っていますか?」
「ヴィオーラ様のことですか?」
モニカは先日、マキウスから聞いた姉弟の話を思い出した。
「確か、子供の頃に屋敷を抜け出して大天使像がある広場まで行ってみたり、お母さんに秘密でお菓子を分け合って食べたり、アマンテさんやアガタさんと遊んだ、という話は聞きました」
モニカの話を聞くと、ヴィオーラは「そうですか」と肩を落とした。
心なしか、ヴィオーラのモフモフの毛の生えた黒色の耳まで垂れているように見えたのだった。
(もしかして……)
そんなヴィオーラの様子に、モニカはずっと気になっていたことを訊ねたのだった。
「もしかして、マキウス様とヴィオーラ様は、仲が悪いんですか?」
モニカの言葉に、ヴィオーラは小さく頷いたのだった。
ヴィオーラによると、この青色の石が魔法石となっており、この魔法石さえあれば、土台となるデザインはどんな形でもいいらしい。
その際に、魔法石を抑制する呪文を刻むことを忘れなければ。
特にアクセサリー系は持ち運びしやすく、オシャレな点から、男女問わず人気のデザインらしい。
「ありがとうございます。ヴィオーラ様」
モニカは早速、指輪をはめた。
指輪は左手の薬指にピッタリと収まったのだった。
「最初の魔力は、必ずマキウスから貰って下さい。そうすることで、魔法石もマキウスを認識します」
「ありがとうございます。マキウス様が帰宅したら、早速、お願いしてみます!」
モニカが指輪を眺めて目を輝かせていると、ヴィオーラは背筋を伸ばすと、「それから」と続けたのだった。
「どうしても、モニカさんとお話ししてみたかったのです」
「私……ですか?」
ヴィオーラの真剣な表情に、何を言われるのかとモニカが身構えていると、ヴィオーラは深いため息をついたのだった。
「実は、弟のーーマキウスのことで、話をしてみたくて」
「マキウス様のことですか?」
「ええ。マキウスはどうですか? モニカさんから見て」
モニカは普段のマキウスの様子を思い浮かべながら答える。
「そうですね……。素晴らしい旦那様だと思いますよ。顔や性格も良いですし……。仕事だけではなく、家庭やニコラのーー娘の育児にも協力的で」
この世界でも、元の世界と同じで、夫は家庭や育児を妻に任せきりで、仕事にばかり力を入れているらしい。
それに対してマキウスは、ペルラやアマンテから見れば、家庭や育児にかなり協力的だということだった。
「それは当然です。その辺りはマキウスが子供の頃に、私がしっかりと躾けましたからね。
お父様が家庭を放っていた所為で、私のお母様とマキウスのお母様の仲は酷くなったようなものですからね。
全く、お父様ときたら……」
どうやら、ヴィオーラとマキウスの父親である当時のブーゲンビリア侯爵は、正に家庭を顧みない典型的な夫だったらしい。
「はあ、それは大変でしたね……」
力説するヴィオーラにモニカは苦笑した。
すると、ヴィオーラは「そうではなく」と首を振ったのだった。
「マキウスは、私のことをどう言っていますか?」
「ヴィオーラ様のことですか?」
モニカは先日、マキウスから聞いた姉弟の話を思い出した。
「確か、子供の頃に屋敷を抜け出して大天使像がある広場まで行ってみたり、お母さんに秘密でお菓子を分け合って食べたり、アマンテさんやアガタさんと遊んだ、という話は聞きました」
モニカの話を聞くと、ヴィオーラは「そうですか」と肩を落とした。
心なしか、ヴィオーラのモフモフの毛の生えた黒色の耳まで垂れているように見えたのだった。
(もしかして……)
そんなヴィオーラの様子に、モニカはずっと気になっていたことを訊ねたのだった。
「もしかして、マキウス様とヴィオーラ様は、仲が悪いんですか?」
モニカの言葉に、ヴィオーラは小さく頷いたのだった。