「国が受け入れた女性を、私たちは『花嫁』と呼んで迎え入れます。
誰がどの花嫁を迎え入れるか、選ぶ権利は身分が高い者から得ます。
この国で最も身分が高い者ーー当然、王族から。
そして、王族は花嫁たちの中で、最も身分の高い花嫁ーー王族を選びます」
この国では、王族に次ぐ身分は公爵となる。
貴族の中で、最高位に当たる爵位は公爵であり、それ以降は、公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵の順となっている。
ただし、実際には公爵と侯爵は、ほぼ同等の身分と考えられていた。
王族、公爵、侯爵、と順に花嫁を迎え入れていく中で、自分の身分が低ければ、女性を選ぶ権利は後半になる。
後半になるにつれて、残っている女性は身分が低い者か、それ以外で何か問題がある者らしい。
「我が家は男爵です。それ以前に、私は国同士の友好を結ぶ政略結婚に興味がありませんでした。
そこで、最後まで残った女性を妻に迎え入れました。それが、モニカ……貴女でした」
「私ですか……?」
「私がモニカを迎える際、に国から教えられた情報によると、元々、モニカは孤児だったそうです。
血の繋がらないモニカを、家族として育ててくれた兄君が、ガランツスとレコウユスの両国を繋ぐ騎士であり、両国の英雄でもあったそうです。
そんな兄君の栄誉を称え、モニカが『花嫁』に選ばれたと聞きました」
モニカを育てた兄が英雄になったきっかけというのが、数年前に発生した両国を巻き込んだとある事件であった。
そこにガランツス側の騎士として出兵していたモニカの兄が、両国の危機を救い、立派な功績を挙げた。
その栄誉として、褒美は何がいいかと聞かれた兄は、妹のモニカを「花嫁」としてこの国に嫁がせて欲しいと望み、両国がその望みを叶えることとした。
そうして、モニカはこの国に迎え入れられたとのことだった。
「そうだったんですね……。あの、マキウス様」
俯いて話すマキウスに、モニカは気になったことを尋ねる。
「……興味がないのに結婚したのは、国の命令があったからですよね。
でも、どうしてマキウス様が結婚するように、命じられたんですか? 他の貴族でも良さなのに……」
「『花嫁』との結婚が、王都にある騎士団本部への所属と、その騎士団本部に所属する騎士で構成する小隊の副官となる際の条件となっていたからです。
モニカと結婚するまで、私は地方の騎士団に所属する下級騎士でした」
誰がどの花嫁を迎え入れるか、選ぶ権利は身分が高い者から得ます。
この国で最も身分が高い者ーー当然、王族から。
そして、王族は花嫁たちの中で、最も身分の高い花嫁ーー王族を選びます」
この国では、王族に次ぐ身分は公爵となる。
貴族の中で、最高位に当たる爵位は公爵であり、それ以降は、公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵の順となっている。
ただし、実際には公爵と侯爵は、ほぼ同等の身分と考えられていた。
王族、公爵、侯爵、と順に花嫁を迎え入れていく中で、自分の身分が低ければ、女性を選ぶ権利は後半になる。
後半になるにつれて、残っている女性は身分が低い者か、それ以外で何か問題がある者らしい。
「我が家は男爵です。それ以前に、私は国同士の友好を結ぶ政略結婚に興味がありませんでした。
そこで、最後まで残った女性を妻に迎え入れました。それが、モニカ……貴女でした」
「私ですか……?」
「私がモニカを迎える際、に国から教えられた情報によると、元々、モニカは孤児だったそうです。
血の繋がらないモニカを、家族として育ててくれた兄君が、ガランツスとレコウユスの両国を繋ぐ騎士であり、両国の英雄でもあったそうです。
そんな兄君の栄誉を称え、モニカが『花嫁』に選ばれたと聞きました」
モニカを育てた兄が英雄になったきっかけというのが、数年前に発生した両国を巻き込んだとある事件であった。
そこにガランツス側の騎士として出兵していたモニカの兄が、両国の危機を救い、立派な功績を挙げた。
その栄誉として、褒美は何がいいかと聞かれた兄は、妹のモニカを「花嫁」としてこの国に嫁がせて欲しいと望み、両国がその望みを叶えることとした。
そうして、モニカはこの国に迎え入れられたとのことだった。
「そうだったんですね……。あの、マキウス様」
俯いて話すマキウスに、モニカは気になったことを尋ねる。
「……興味がないのに結婚したのは、国の命令があったからですよね。
でも、どうしてマキウス様が結婚するように、命じられたんですか? 他の貴族でも良さなのに……」
「『花嫁』との結婚が、王都にある騎士団本部への所属と、その騎士団本部に所属する騎士で構成する小隊の副官となる際の条件となっていたからです。
モニカと結婚するまで、私は地方の騎士団に所属する下級騎士でした」