「ベンチに押し倒されて、必死に抵抗しました。何も考えられなくなって……無我夢中でした」
「それから、どうなったんですか?」
「ベンチから転がり落ちるように離れて、なんとか男子学生から逃れることが出来ました。……本当に間一髪でした」
「何も無くて良かったです」
マキウスは安心したのか、肩の力を抜いたようだった。
それがどことなく嬉しくて、少しだけあの時の雪辱を晴らせた様な気がした。
「それで、私は聞いたんです。『いきなり何をするの!?』って。
そうしたら、その男子学生は納得がいかないような顔で言ったんです。
『ヤらせてくれるから、ここに来たんじゃないの?』って。
その言葉に私は頭に血が上りました。それで、公園を後にしようとしました」
怒り心頭に発していたモニカは「最低!」とだけ吐き捨てると、男子学生を置いて公園の出入り口に向かっていた。
「公園の出口に向かっていると、後ろから舌打ちが聞こえてきました。足を止めて振り返ると、今度は後ろから背中を蹴られました。
その場にうつ伏せに倒れると、近づいてきた男子学生は私の背中を踏みつけました。
そして私の髪を引っ張ると、側頭部を殴ってきました」
「女性を殴るなど言語道断です。まして、モニカを殴るなど許せません!」
「でも、そもそも私がついて行ったのが悪いので……」
「貴女は何も悪くありません! 優しい貴女を利用して、自分が誘ったら貴女がついて来る様に、あらかじめ親切にする振りをして用意していたんです! 下衆がやる手口です!」
これまで見たことがないくらい、声を荒げて激怒してくれるマキウスに、またモニカの胸中が軽くなっていくのを感じていた。
(やっぱり、マキウス様に話して良かった)
馬鹿みたいに簡単に男について行って、強姦未遂に遭ったと話したら、呆れられて、嫌われるんじゃないかと、ずっと心の中で恐れていた。
ーー実際に御國だった頃、この話を聞いた周囲は呆れ返っていたから。
「男子学生に言われました。『なんだよ。使えないな』、『この為に、こんな身体以外良いところのない、生きている価値のない奴に優しくしてきたのに』って」
男子学生は吐き捨てるように言うと、足を退かした。
その隙に逃げようとしたが、痛みと衝撃から身体に力が入らなかった。
「地面に手をついて、なんとか起き上がろうとすると、今度は私の背中に馬乗りになって、服の中に手を入れてきました。必死に抵抗しましたが……下着の上から胸を掴まれ、揉まれました。執拗に何度も」
触られた時、身体中を悪寒が襲ってきた。
嫌な汗が流れてきて、どうにか身体を退かせないかと手足を動かしてもがいた。
「『止めて!』って叫んだら、『うるさい』と言われて、また髪を引っ張られて、顔を殴られました。地面に叩きつけられた時、口の中に入った砂の味を今でも覚えています。ジャリジャリして、どこか塩辛い味までしてきて。
そうしている間に、男子学生は私の下着を脱がそうとしました」
そこは未熟な男子中学生と言えばいいのか、ブラジャーのホックの外し方がわからなかったようで手間取っていた。
その隙にモニカは男子学生をつき飛ばすと、脇目も振らずに、自宅へと逃げ帰ったのだった。
「下着を脱がされる前に男子学生を突き飛ばして、どうにか自宅に帰ると、すぐに部屋に駆け込みました。
男子が触った胸ーー特に胸の乳房の辺りが気持ち悪くて、何度もタオルで拭きました」
モニカはドレスの上から、自分の胸の頂に触れた。
今でも、この男子学生のことを思い出すと、胸が痒くなり、擦ってしまいそうになる。
モニカは胸を擦らないように、強く手を握り締める
「赤くなって、皮膚が破れて、タオルに血が滲んでも、何度も拭きました。とにかく気持ち悪かったんです……吐き気がしました」
乳房とその周辺から血を流しながら、何度もタオルで擦っていた時を思い出して、また気持ち悪くなってくる。深く息を吸い込んで、どうにかして気持ちを落ち着かせる。
落ち着いた代わりに、モニカの両目からは自然と涙が溢れてきた。
それをマキウスに見られないように、モニカは目線を落としながら話しを続けたのだった。
「それから、どうなったんですか?」
「ベンチから転がり落ちるように離れて、なんとか男子学生から逃れることが出来ました。……本当に間一髪でした」
「何も無くて良かったです」
マキウスは安心したのか、肩の力を抜いたようだった。
それがどことなく嬉しくて、少しだけあの時の雪辱を晴らせた様な気がした。
「それで、私は聞いたんです。『いきなり何をするの!?』って。
そうしたら、その男子学生は納得がいかないような顔で言ったんです。
『ヤらせてくれるから、ここに来たんじゃないの?』って。
その言葉に私は頭に血が上りました。それで、公園を後にしようとしました」
怒り心頭に発していたモニカは「最低!」とだけ吐き捨てると、男子学生を置いて公園の出入り口に向かっていた。
「公園の出口に向かっていると、後ろから舌打ちが聞こえてきました。足を止めて振り返ると、今度は後ろから背中を蹴られました。
その場にうつ伏せに倒れると、近づいてきた男子学生は私の背中を踏みつけました。
そして私の髪を引っ張ると、側頭部を殴ってきました」
「女性を殴るなど言語道断です。まして、モニカを殴るなど許せません!」
「でも、そもそも私がついて行ったのが悪いので……」
「貴女は何も悪くありません! 優しい貴女を利用して、自分が誘ったら貴女がついて来る様に、あらかじめ親切にする振りをして用意していたんです! 下衆がやる手口です!」
これまで見たことがないくらい、声を荒げて激怒してくれるマキウスに、またモニカの胸中が軽くなっていくのを感じていた。
(やっぱり、マキウス様に話して良かった)
馬鹿みたいに簡単に男について行って、強姦未遂に遭ったと話したら、呆れられて、嫌われるんじゃないかと、ずっと心の中で恐れていた。
ーー実際に御國だった頃、この話を聞いた周囲は呆れ返っていたから。
「男子学生に言われました。『なんだよ。使えないな』、『この為に、こんな身体以外良いところのない、生きている価値のない奴に優しくしてきたのに』って」
男子学生は吐き捨てるように言うと、足を退かした。
その隙に逃げようとしたが、痛みと衝撃から身体に力が入らなかった。
「地面に手をついて、なんとか起き上がろうとすると、今度は私の背中に馬乗りになって、服の中に手を入れてきました。必死に抵抗しましたが……下着の上から胸を掴まれ、揉まれました。執拗に何度も」
触られた時、身体中を悪寒が襲ってきた。
嫌な汗が流れてきて、どうにか身体を退かせないかと手足を動かしてもがいた。
「『止めて!』って叫んだら、『うるさい』と言われて、また髪を引っ張られて、顔を殴られました。地面に叩きつけられた時、口の中に入った砂の味を今でも覚えています。ジャリジャリして、どこか塩辛い味までしてきて。
そうしている間に、男子学生は私の下着を脱がそうとしました」
そこは未熟な男子中学生と言えばいいのか、ブラジャーのホックの外し方がわからなかったようで手間取っていた。
その隙にモニカは男子学生をつき飛ばすと、脇目も振らずに、自宅へと逃げ帰ったのだった。
「下着を脱がされる前に男子学生を突き飛ばして、どうにか自宅に帰ると、すぐに部屋に駆け込みました。
男子が触った胸ーー特に胸の乳房の辺りが気持ち悪くて、何度もタオルで拭きました」
モニカはドレスの上から、自分の胸の頂に触れた。
今でも、この男子学生のことを思い出すと、胸が痒くなり、擦ってしまいそうになる。
モニカは胸を擦らないように、強く手を握り締める
「赤くなって、皮膚が破れて、タオルに血が滲んでも、何度も拭きました。とにかく気持ち悪かったんです……吐き気がしました」
乳房とその周辺から血を流しながら、何度もタオルで擦っていた時を思い出して、また気持ち悪くなってくる。深く息を吸い込んで、どうにかして気持ちを落ち着かせる。
落ち着いた代わりに、モニカの両目からは自然と涙が溢れてきた。
それをマキウスに見られないように、モニカは目線を落としながら話しを続けたのだった。