「元の世界での私は貴族ではないので、貴族の夫人として相応しい教養やマナーが身についているとは思えません。
今は貴族の女性らしくになれるように、ペルラさんから教養やマナーを教わっていますが、まだまだ付け焼き刃の程度です。マキウス様の隣を歩くにはまだまだ未熟です」
「気にする必要はありません。そんなものは、これから身につけていけばいいんです。時間をかけて、ゆっくりと……」
マキウスの言葉が胸に染み入る。
モニカは膝を抱えると、そこに顔を埋めるようにして続ける。
「それに、私はこれまで育児や結婚どころか、男性と付き合ったことさえありません。……男性が怖いんです」
「男が怖い……?」
聞き返したマキウスに、モニカは小さく頷く。
「それにも関わらず、結婚して、子供が欲しいとも思っていました。……身の程知らずにも、かつての私は」
御國だった頃、学生時代の同級生や職場の人たちから、恋人が出来たという話を聞く度に、羨ましいと思った。
結婚して、子供が出来たという話を聞くと、もっと羨ましくなった。
「友人や職場の人たちから、彼氏や夫の話を聞く度に羨ましい気持ちになって、その人を妬んでばかりいました。
私は恋人も結婚も出来ないのに、どうしてこの人は出来たんだろうって。……最低ですよね」
「そんなことは……」
言葉に詰まったマキウスに、モニカは苦笑しつつそっと首を振った。
「私も勇気を出して、恋人を作って、結婚して、子供を産めばいいだけの話なんです。
でも、どうしても出来なかった。怖いから……」
そうして、モニカは自分で自分の身体を抱きしめたのだった。
「今の私はマキウス様に触れられたい、もっと親密な関係になりたいーー愛されたいと思っています。けれども、どこかで触れられるのが怖いとも思っています」
「そうだったんですか……?」
モニカの言葉が意外だったのか、マキウスは驚いているようだった。
そんなマキウスに、どこか後ろめたさを感じながら、モニカは口を開いたのだった。
「私、子供の頃に男性に乱暴されたことがあります。ーー強姦されそうになったんです。それから、ずっと男性が怖いんです」
宵闇の中で、マキウスのアメシストの様な目が大きく開かれたのを見ながら、モニカは自分の過去について話し出したのだった。
今は貴族の女性らしくになれるように、ペルラさんから教養やマナーを教わっていますが、まだまだ付け焼き刃の程度です。マキウス様の隣を歩くにはまだまだ未熟です」
「気にする必要はありません。そんなものは、これから身につけていけばいいんです。時間をかけて、ゆっくりと……」
マキウスの言葉が胸に染み入る。
モニカは膝を抱えると、そこに顔を埋めるようにして続ける。
「それに、私はこれまで育児や結婚どころか、男性と付き合ったことさえありません。……男性が怖いんです」
「男が怖い……?」
聞き返したマキウスに、モニカは小さく頷く。
「それにも関わらず、結婚して、子供が欲しいとも思っていました。……身の程知らずにも、かつての私は」
御國だった頃、学生時代の同級生や職場の人たちから、恋人が出来たという話を聞く度に、羨ましいと思った。
結婚して、子供が出来たという話を聞くと、もっと羨ましくなった。
「友人や職場の人たちから、彼氏や夫の話を聞く度に羨ましい気持ちになって、その人を妬んでばかりいました。
私は恋人も結婚も出来ないのに、どうしてこの人は出来たんだろうって。……最低ですよね」
「そんなことは……」
言葉に詰まったマキウスに、モニカは苦笑しつつそっと首を振った。
「私も勇気を出して、恋人を作って、結婚して、子供を産めばいいだけの話なんです。
でも、どうしても出来なかった。怖いから……」
そうして、モニカは自分で自分の身体を抱きしめたのだった。
「今の私はマキウス様に触れられたい、もっと親密な関係になりたいーー愛されたいと思っています。けれども、どこかで触れられるのが怖いとも思っています」
「そうだったんですか……?」
モニカの言葉が意外だったのか、マキウスは驚いているようだった。
そんなマキウスに、どこか後ろめたさを感じながら、モニカは口を開いたのだった。
「私、子供の頃に男性に乱暴されたことがあります。ーー強姦されそうになったんです。それから、ずっと男性が怖いんです」
宵闇の中で、マキウスのアメシストの様な目が大きく開かれたのを見ながら、モニカは自分の過去について話し出したのだった。