「我が家にようこそ、お兄ちゃん! 待ってたよ!」
次の日の午後、屋敷にやって来たリュドヴィックをモニカは玄関で出迎えたのだった。
「突然すまない。ようやく時間が取れたんだ。そうしたら、すぐにモニカに会いに行きたくなった」
屋敷にやって来たリュドヴィックは、貧民街で会った時の鎧姿とは違い、白色のシャツと黒色のスラっとしたパンツとサスペンダー姿であり、ストレートの金髪を背中に流していたのだった。
また、帯剣している剣の柄にはオレンジ色の魔法石が紐で結ばれていた。
リュドヴィックによると、洋服も、魔法石も、全て滞在先であるヴィオーラから借りたらしい。
「定刻より早く来てしまった。これでも歩いてきたんだが……。もう少しゆっくり来るべきだったな」
「ううん。お兄ちゃんらしくて、いいと思うよ!」
モニカはフフッと笑ったのだった。
「立ち話もなんだし、応接間に案内するね」
モニカはリュドヴィックを連れて応接間に案内しながら、兄にバレない様にそっと息をついた。
(ここまでは、『モニカ備忘録』の通り)
モニカはリュドヴィックが来るまでに、モニカから引き継いだ記憶ーー「モニカ備忘録」の中から、リュドヴィックに関する記憶を探した。
全て見つけた訳ではないが、どうやらリュドヴィックは几帳面な性格らしい。
時間や規律に厳しいらしく、時間を厳守しなかったモニカが、リュドヴィックに怒られていた記憶もあった。
「お待たせ、お兄ちゃん。ニコラを連れて来たよ」
リュドヴィックを応接間に案内した後、モニカはニコラを連れて応接間にやって来た。
モニカの後ろからは、何かあった時に備えてニコラの乳母のアマンテが控えていた。
「お兄ちゃん。この子が私とマキウス様の娘のニコラだよ」
リュドヴィックにニコラを紹介した後、次いで腕の中のニコラを見下ろした。
「ニコラ、こっちは私のお兄ちゃんのリュドヴィックお兄ちゃん。ニコラの伯父さんだよ!」
「この歳で伯父さんは、なんだか恥ずかしいな……」
リュドヴィックが見えるように、腕の中でニコラの抱き方を変えると、ニコラは様子を伺うように、じっとリュドヴィックを見つめているようだった。
ニコラを連れてリュドヴィックの側に行くと、リュドヴィックはニコラの顔を覗き込んだのだった。
「モニカとよく似ているな。可愛い」
「お兄ちゃんも、私と似てるって思うんだ」
「髪の色もだが、柔らかな面差しはモニカそっくりだ。目や顔の形はマキウス殿か? 目元もマキウス殿にそっくりだな」
「そうでしょ! 目元はマキウス様に本当にそっくりで……」
モニカとリュドヴィックは顔を見合わせると、笑い合ったのだった。
その後、ティカとエクレアが来て、テーブルにお茶の用意をしてくれている間、モニカはふと思いついたことを口にする。
「そうだ! お兄ちゃんもニコラを抱いてみる?」
「いいのか?」
「勿論! 良いですよね?」
モニカが後ろに控えていたアマンテに声を掛けると、すぐ頷いたのだった。
「じゃあ、モニカの言葉に甘えて」
モニカがリュドヴィックにニコラを渡すと、リュドヴィックはおっかなびっくり抱いていた。
「思ったより大きいな……」
「最近また体重も増えて、大きくなったからね」
「まだまだ成長するのか……。赤子とは凄いものなんだな」
そんな事を話しながら、モニカがリュドヴィックにニコラの抱き方を教えていた時だった。
今までずっとリュドヴィックの様子を伺っていたニコラが、突然、火がついたように泣き出したのだった。
次の日の午後、屋敷にやって来たリュドヴィックをモニカは玄関で出迎えたのだった。
「突然すまない。ようやく時間が取れたんだ。そうしたら、すぐにモニカに会いに行きたくなった」
屋敷にやって来たリュドヴィックは、貧民街で会った時の鎧姿とは違い、白色のシャツと黒色のスラっとしたパンツとサスペンダー姿であり、ストレートの金髪を背中に流していたのだった。
また、帯剣している剣の柄にはオレンジ色の魔法石が紐で結ばれていた。
リュドヴィックによると、洋服も、魔法石も、全て滞在先であるヴィオーラから借りたらしい。
「定刻より早く来てしまった。これでも歩いてきたんだが……。もう少しゆっくり来るべきだったな」
「ううん。お兄ちゃんらしくて、いいと思うよ!」
モニカはフフッと笑ったのだった。
「立ち話もなんだし、応接間に案内するね」
モニカはリュドヴィックを連れて応接間に案内しながら、兄にバレない様にそっと息をついた。
(ここまでは、『モニカ備忘録』の通り)
モニカはリュドヴィックが来るまでに、モニカから引き継いだ記憶ーー「モニカ備忘録」の中から、リュドヴィックに関する記憶を探した。
全て見つけた訳ではないが、どうやらリュドヴィックは几帳面な性格らしい。
時間や規律に厳しいらしく、時間を厳守しなかったモニカが、リュドヴィックに怒られていた記憶もあった。
「お待たせ、お兄ちゃん。ニコラを連れて来たよ」
リュドヴィックを応接間に案内した後、モニカはニコラを連れて応接間にやって来た。
モニカの後ろからは、何かあった時に備えてニコラの乳母のアマンテが控えていた。
「お兄ちゃん。この子が私とマキウス様の娘のニコラだよ」
リュドヴィックにニコラを紹介した後、次いで腕の中のニコラを見下ろした。
「ニコラ、こっちは私のお兄ちゃんのリュドヴィックお兄ちゃん。ニコラの伯父さんだよ!」
「この歳で伯父さんは、なんだか恥ずかしいな……」
リュドヴィックが見えるように、腕の中でニコラの抱き方を変えると、ニコラは様子を伺うように、じっとリュドヴィックを見つめているようだった。
ニコラを連れてリュドヴィックの側に行くと、リュドヴィックはニコラの顔を覗き込んだのだった。
「モニカとよく似ているな。可愛い」
「お兄ちゃんも、私と似てるって思うんだ」
「髪の色もだが、柔らかな面差しはモニカそっくりだ。目や顔の形はマキウス殿か? 目元もマキウス殿にそっくりだな」
「そうでしょ! 目元はマキウス様に本当にそっくりで……」
モニカとリュドヴィックは顔を見合わせると、笑い合ったのだった。
その後、ティカとエクレアが来て、テーブルにお茶の用意をしてくれている間、モニカはふと思いついたことを口にする。
「そうだ! お兄ちゃんもニコラを抱いてみる?」
「いいのか?」
「勿論! 良いですよね?」
モニカが後ろに控えていたアマンテに声を掛けると、すぐ頷いたのだった。
「じゃあ、モニカの言葉に甘えて」
モニカがリュドヴィックにニコラを渡すと、リュドヴィックはおっかなびっくり抱いていた。
「思ったより大きいな……」
「最近また体重も増えて、大きくなったからね」
「まだまだ成長するのか……。赤子とは凄いものなんだな」
そんな事を話しながら、モニカがリュドヴィックにニコラの抱き方を教えていた時だった。
今までずっとリュドヴィックの様子を伺っていたニコラが、突然、火がついたように泣き出したのだった。