「あー」
「あー」
リュドヴィックがヴィオーラの元に滞在し始めてから、数日が経過した。
昼食を終えたモニカは、自室でニコラと一緒に遊んでいた。
「うーうー」
「うーうー」
ベッドの上に丸めたタオルを横向きにすると、タオルの上にニコラの胸がくるように慎重に腹這いの体勢にする。
首が座ってきたので、これでもニコラは充分自立出来た。
「ニコラ、おもちゃはここだよ」
そんなニコラの前で、音が鳴るおもちゃを鳴らすと、小さな身体をじたばたとさせて、それを掴もうと腕を伸ばしてくるのだった。
アマンテによると、そろそろニコラもハイハイの練習に備えて、うつ伏せの体勢に慣れた方がいいとのことで、この遊びを勧められた。
ニコラぐらいの赤ちゃんは、この頃になると音の出るおもちゃを目で追いかけるようになる。
以前も、モニカが音の出るおもちゃをニコラの顔の前で振っていたら、ニコラはじっと目で追いかけるようになっていた。
また、最近では親指が発達してきたのか、顔の前で振っていたおもちゃを掴もうする回数も増え、おもちゃを持たせると口に近づける回数も増えてきた。
それを利用して、腹這いの体勢にしたニコラの目の前で音の出るおもちゃを振って、うつ伏せに慣れさせようと、この遊びをさせてみることにしたのだった。
モニカは最初こそ腹這いにしたニコラが窒息してしまうのではないかと不安になったが、胸の下に丸めたタオルを入れて、顔を高くすれば大丈夫だと説得された。
実際に顔を高くすれば窒息の心配は無くなったが、それでも吐乳する危険があった。また、物を掴めるようになったことで近くの物を誤飲する可能性があるので、ニコラを腹這いにさせている時は決して目を離さないように厳しく言われたのだった。
「ブー」
「ブー」
先程から、ニコラが声を発していたので、それをモニカが真似すると、ふっくらとした柔肌の頬を、熟したリンゴの様に赤く染めて、ニコラは嬉しそうな顔をしていた。
言葉の発達にも繋がるので、ニコラが声を発した時は、なるべくモニカも真似して繰り返すようにしていたのだった。
「今日もニコラは可愛いね!」
その言葉が分かったのか、ニコラは母親を見ると、花が咲いた様な笑みを浮かべたのだった。
ボールの様な音の鳴る丸いおもちゃを動かしながら、おもちゃを握ってブーブーという音を鳴らしていると、部屋の扉が叩かれた。
「失礼します。モニカ様。ティカです。お手紙をお持ちしました」
「はい。どうぞ」
モニカが扉を振り返ると、手紙を持ったメイドのティカと一緒に、ニコラの乳母のアマンテも休憩から戻って来たのだった。
「恐れながら、モニカ様。ニコラ様をうつ伏せにしている時は目を離さないように、あれほど言いましたよね……」
「あっ、そうでした。すみません……」
呆れ顔のアマンテが代わりにニコラを見るとのことだったので、アマンテにニコラを任せると、ティカから手紙を受け取った。
「私宛に手紙って誰だろう……? お姉様かな?」
「届けに来たのは、ブーゲンビリア侯爵家の使用人でしたが、送り主は……」
ティカの言葉を聞きながら、流暢な文字でモニカの名前が書かれた白い封筒を裏返すと、そこにはリュドヴィックの名前があった。
「お兄ちゃんからだ。どうしたんだろう……」
赤い封蝋で留められた封を、ティカから渡されたペーパーナイフで開けると、中からは一枚の便箋が出てきた。
それをざっと読んだモニカは、目を丸く開いたのだった。
「ええっ!」
モニカの叫び声に、ニコラまでもがモニカをじっと見つめたまま固まったのだった。
「あー」
リュドヴィックがヴィオーラの元に滞在し始めてから、数日が経過した。
昼食を終えたモニカは、自室でニコラと一緒に遊んでいた。
「うーうー」
「うーうー」
ベッドの上に丸めたタオルを横向きにすると、タオルの上にニコラの胸がくるように慎重に腹這いの体勢にする。
首が座ってきたので、これでもニコラは充分自立出来た。
「ニコラ、おもちゃはここだよ」
そんなニコラの前で、音が鳴るおもちゃを鳴らすと、小さな身体をじたばたとさせて、それを掴もうと腕を伸ばしてくるのだった。
アマンテによると、そろそろニコラもハイハイの練習に備えて、うつ伏せの体勢に慣れた方がいいとのことで、この遊びを勧められた。
ニコラぐらいの赤ちゃんは、この頃になると音の出るおもちゃを目で追いかけるようになる。
以前も、モニカが音の出るおもちゃをニコラの顔の前で振っていたら、ニコラはじっと目で追いかけるようになっていた。
また、最近では親指が発達してきたのか、顔の前で振っていたおもちゃを掴もうする回数も増え、おもちゃを持たせると口に近づける回数も増えてきた。
それを利用して、腹這いの体勢にしたニコラの目の前で音の出るおもちゃを振って、うつ伏せに慣れさせようと、この遊びをさせてみることにしたのだった。
モニカは最初こそ腹這いにしたニコラが窒息してしまうのではないかと不安になったが、胸の下に丸めたタオルを入れて、顔を高くすれば大丈夫だと説得された。
実際に顔を高くすれば窒息の心配は無くなったが、それでも吐乳する危険があった。また、物を掴めるようになったことで近くの物を誤飲する可能性があるので、ニコラを腹這いにさせている時は決して目を離さないように厳しく言われたのだった。
「ブー」
「ブー」
先程から、ニコラが声を発していたので、それをモニカが真似すると、ふっくらとした柔肌の頬を、熟したリンゴの様に赤く染めて、ニコラは嬉しそうな顔をしていた。
言葉の発達にも繋がるので、ニコラが声を発した時は、なるべくモニカも真似して繰り返すようにしていたのだった。
「今日もニコラは可愛いね!」
その言葉が分かったのか、ニコラは母親を見ると、花が咲いた様な笑みを浮かべたのだった。
ボールの様な音の鳴る丸いおもちゃを動かしながら、おもちゃを握ってブーブーという音を鳴らしていると、部屋の扉が叩かれた。
「失礼します。モニカ様。ティカです。お手紙をお持ちしました」
「はい。どうぞ」
モニカが扉を振り返ると、手紙を持ったメイドのティカと一緒に、ニコラの乳母のアマンテも休憩から戻って来たのだった。
「恐れながら、モニカ様。ニコラ様をうつ伏せにしている時は目を離さないように、あれほど言いましたよね……」
「あっ、そうでした。すみません……」
呆れ顔のアマンテが代わりにニコラを見るとのことだったので、アマンテにニコラを任せると、ティカから手紙を受け取った。
「私宛に手紙って誰だろう……? お姉様かな?」
「届けに来たのは、ブーゲンビリア侯爵家の使用人でしたが、送り主は……」
ティカの言葉を聞きながら、流暢な文字でモニカの名前が書かれた白い封筒を裏返すと、そこにはリュドヴィックの名前があった。
「お兄ちゃんからだ。どうしたんだろう……」
赤い封蝋で留められた封を、ティカから渡されたペーパーナイフで開けると、中からは一枚の便箋が出てきた。
それをざっと読んだモニカは、目を丸く開いたのだった。
「ええっ!」
モニカの叫び声に、ニコラまでもがモニカをじっと見つめたまま固まったのだった。