* * *
「改めまして、僕は荒熊。見ての通りのアライグマで、この店の店主で――この町の土地神様です!」
少しでも視線を合わせるためか、椅子の上に立ったアライグマ氏改め荒熊さんが、志希に向かってペコリとお辞儀をする。その様は、まるでどこかのテーマパークのマスコットのようだ。
そして、そんなかわいらしい自称店長兼土地神から挨拶を受けた志希は――。
「あ、ご丁寧にどうも。私は小日向志希と申します。どうぞよろしくお願いいたします」
とてもフラットに自分も自己紹介をして、同じくペコリと頭を下げた。
先程までいきなり自分の頬をつねったり、項垂れたりしていた少女と同一人物とは思えない落ち着き様。荒熊さんは真ん丸なお目々をパチクリさせ、窺うように志希を見上げた。
「あ、うん。その~……、驚かないの? 神様だよ?」
「もう驚き疲れたので……。先程、荒熊さんに言われた通り、あるがままを受け入れることにしました」
「あ、そうなんだ……」
悟った顔で返答する志希に、荒熊さんは少し落ち込んだ様子で肩を落とした。どうやら自分が神様であるというカミングアウトに対して、それなりのリアクションを期待していたらしい。
しかし、そこは神様。志希のリアクションくらい屁でもないのか、すぐに明るい調子に戻って志希のことを見上げてきた。
「それはそうと、君、すごいね。普通の人は、僕の存在に何の疑問も抱かないはずなんだよ。アライグマの僕がお店で働いていても、そういうものだと受け入れちゃうようになっているんだ。神様のデフォルト能力のおかげで」
と言って、得意げに胸を張る荒熊さん。
荒熊さんが続けて言うには、神様には一種の認識阻害のような能力がデフォルトで備わっているらしい。そのおかげで、人外の姿を持つ神様も人間たちの前に堂々と出ていけるそうだ。
「改めまして、僕は荒熊。見ての通りのアライグマで、この店の店主で――この町の土地神様です!」
少しでも視線を合わせるためか、椅子の上に立ったアライグマ氏改め荒熊さんが、志希に向かってペコリとお辞儀をする。その様は、まるでどこかのテーマパークのマスコットのようだ。
そして、そんなかわいらしい自称店長兼土地神から挨拶を受けた志希は――。
「あ、ご丁寧にどうも。私は小日向志希と申します。どうぞよろしくお願いいたします」
とてもフラットに自分も自己紹介をして、同じくペコリと頭を下げた。
先程までいきなり自分の頬をつねったり、項垂れたりしていた少女と同一人物とは思えない落ち着き様。荒熊さんは真ん丸なお目々をパチクリさせ、窺うように志希を見上げた。
「あ、うん。その~……、驚かないの? 神様だよ?」
「もう驚き疲れたので……。先程、荒熊さんに言われた通り、あるがままを受け入れることにしました」
「あ、そうなんだ……」
悟った顔で返答する志希に、荒熊さんは少し落ち込んだ様子で肩を落とした。どうやら自分が神様であるというカミングアウトに対して、それなりのリアクションを期待していたらしい。
しかし、そこは神様。志希のリアクションくらい屁でもないのか、すぐに明るい調子に戻って志希のことを見上げてきた。
「それはそうと、君、すごいね。普通の人は、僕の存在に何の疑問も抱かないはずなんだよ。アライグマの僕がお店で働いていても、そういうものだと受け入れちゃうようになっているんだ。神様のデフォルト能力のおかげで」
と言って、得意げに胸を張る荒熊さん。
荒熊さんが続けて言うには、神様には一種の認識阻害のような能力がデフォルトで備わっているらしい。そのおかげで、人外の姿を持つ神様も人間たちの前に堂々と出ていけるそうだ。