そして、結論から言えば正しかったのは荒熊さんだった。
紗代と明日香が店を去ってから数時間後。カフェの閉店時間が過ぎた頃。
「すみません、今日はもう閉店でして――明日香ちゃん!」
CLOSEDの札が掛かった入り口の扉が開き、志希がそちらを見てみれば――そこに立っていたのは明日香だった。明日香は胸に落語の本と扇子を抱きかかえ、所在なさげな苦笑で志希たちの方を見ている。
すると、荒熊さんがカウンターの中でグラスを拭きながら、明日香に微笑みかけた。
「こんばんは、明日香ちゃん。家出してきたのかい?」
「さすが旦那、ご名答」
荒熊さんの問い掛けに、明日香は敵わないなという顔で頷く。
グラスを置いた荒熊さんは、続いて志希の方を見て、サムズアップしながらバチンとウィンクを決めた。
「ね、ね! 僕の言った通りだったでしょ」
「何を得意げに言っているんですか!」
予想が当たって鼻高々といった様子の荒熊さんを、志希は全力でしかりつけた。
紗代と明日香が店を去ってから数時間後。カフェの閉店時間が過ぎた頃。
「すみません、今日はもう閉店でして――明日香ちゃん!」
CLOSEDの札が掛かった入り口の扉が開き、志希がそちらを見てみれば――そこに立っていたのは明日香だった。明日香は胸に落語の本と扇子を抱きかかえ、所在なさげな苦笑で志希たちの方を見ている。
すると、荒熊さんがカウンターの中でグラスを拭きながら、明日香に微笑みかけた。
「こんばんは、明日香ちゃん。家出してきたのかい?」
「さすが旦那、ご名答」
荒熊さんの問い掛けに、明日香は敵わないなという顔で頷く。
グラスを置いた荒熊さんは、続いて志希の方を見て、サムズアップしながらバチンとウィンクを決めた。
「ね、ね! 僕の言った通りだったでしょ」
「何を得意げに言っているんですか!」
予想が当たって鼻高々といった様子の荒熊さんを、志希は全力でしかりつけた。