「あなたが、この店の店長ですね。私、明日香の母親の真崎紗代と申します。早速ですが、あなた、一体どういうつもりですか? こんな小さな子供を毎日のように入り浸らせて。非常識にも程がありますよね」
「それについては弁明のしようもありません。本当に申し訳ありません。――けれど、ひとまず落ち着いてください。明日香ちゃんも怯えていますし」
明日香の母――紗代に謝りつつも、荒熊さんは冷静に話し合おうと訴える。
そんな荒熊さんの泰然とした態度に気圧されたのだろう。紗代の怒気が、目に見えてしぼんだ。
「……確かに、少し冷静さを欠いていました。しかし、あなたに諭される筋合いはありません」
それでも、紗代は荒熊さんの目をしっかりと見つめて言い返してきた。神様である荒熊さんに言い返せる辺り、相当芯の強い女性なのだろう。今はそれが、悪い方向で出てしまっているようだが……。
「明日香、行くわよ」
そして紗代は、明日香の手を引いて店を出ていこうとした。これ以上、この店にいたくないらしい。
だが、明日香は抵抗するようにその場を動こうとしない。今の紗代と一緒に帰ることを嫌がっているようだ。
「いい加減にして。これ以上、迷惑を掛けないでちょうだい」
すると紗代は、抵抗する明日香の手を苛立たしげに強く引っ張った。
明日香も大人の力には勝てず、引きずられるようにして連れていかれる。
その時だ。明日香が、縋るような瞳で志希たちの方を見る。
瞬間、志希の頭の中で何かが弾けた。
「それについては弁明のしようもありません。本当に申し訳ありません。――けれど、ひとまず落ち着いてください。明日香ちゃんも怯えていますし」
明日香の母――紗代に謝りつつも、荒熊さんは冷静に話し合おうと訴える。
そんな荒熊さんの泰然とした態度に気圧されたのだろう。紗代の怒気が、目に見えてしぼんだ。
「……確かに、少し冷静さを欠いていました。しかし、あなたに諭される筋合いはありません」
それでも、紗代は荒熊さんの目をしっかりと見つめて言い返してきた。神様である荒熊さんに言い返せる辺り、相当芯の強い女性なのだろう。今はそれが、悪い方向で出てしまっているようだが……。
「明日香、行くわよ」
そして紗代は、明日香の手を引いて店を出ていこうとした。これ以上、この店にいたくないらしい。
だが、明日香は抵抗するようにその場を動こうとしない。今の紗代と一緒に帰ることを嫌がっているようだ。
「いい加減にして。これ以上、迷惑を掛けないでちょうだい」
すると紗代は、抵抗する明日香の手を苛立たしげに強く引っ張った。
明日香も大人の力には勝てず、引きずられるようにして連れていかれる。
その時だ。明日香が、縋るような瞳で志希たちの方を見る。
瞬間、志希の頭の中で何かが弾けた。