「――ん? おっと、いけない。もうこんな時間だ」
志希が胸を撃ち抜かれていると、明日香はそう言ってカウンター席からぴょんと飛び下りた。
どうやら、家に帰らなければいけない時間らしい。
「それじゃあ、旦那、姐さん、今日はここらで失礼するよ」
「うん。今日もありがとうね。お疲れ様」
「明日香ちゃん、また来てくださいね」
ブンブンと志希たちに手を振って「またね」と言い、明日香はタッタッタと軽い足取りで店から出ていく。
そんな明日香の後姿を見ながら、志希はふと今朝のことを思い出していた。
「明日香ちゃん、ここではいつも笑っていますけど、家ではお母さんとギクシャクしているんですよね」
「そうだね。ご家庭のことだからあまり口は出せないけど……唯一の家族と気まずい関係っていうのは結構きつい状況だと思う」
明日香ちゃんは本当に強い子だよ、と荒熊さんは感心するような口調で言う。
その隣で、志希は明日香が去っていった入り口の扉を心配そうな面持ちで見つめていた。父を亡くして母子家庭という昔の自分と似た境遇である故か、明日香の今の親子関係が心配でならないのだ。
何かのきっかけで、明日香とお母さんの関係が良い方向へ向かってくれればいいのだが……。
そう願わずにはいられない志希だった。
志希が胸を撃ち抜かれていると、明日香はそう言ってカウンター席からぴょんと飛び下りた。
どうやら、家に帰らなければいけない時間らしい。
「それじゃあ、旦那、姐さん、今日はここらで失礼するよ」
「うん。今日もありがとうね。お疲れ様」
「明日香ちゃん、また来てくださいね」
ブンブンと志希たちに手を振って「またね」と言い、明日香はタッタッタと軽い足取りで店から出ていく。
そんな明日香の後姿を見ながら、志希はふと今朝のことを思い出していた。
「明日香ちゃん、ここではいつも笑っていますけど、家ではお母さんとギクシャクしているんですよね」
「そうだね。ご家庭のことだからあまり口は出せないけど……唯一の家族と気まずい関係っていうのは結構きつい状況だと思う」
明日香ちゃんは本当に強い子だよ、と荒熊さんは感心するような口調で言う。
その隣で、志希は明日香が去っていった入り口の扉を心配そうな面持ちで見つめていた。父を亡くして母子家庭という昔の自分と似た境遇である故か、明日香の今の親子関係が心配でならないのだ。
何かのきっかけで、明日香とお母さんの関係が良い方向へ向かってくれればいいのだが……。
そう願わずにはいられない志希だった。