「明日香ちゃん。おはようございます」
「おはよう、志希の姐さん! 今日もよろしくね!」
「はい。こちらこそ、よろしくお願いします」
外からひょっこり顔を覗かせたのは、今日も元気な明日香だ。今は小学校が春休みなので、最近は毎日のように顔を見せている。
店に入ってきた明日香は、自分用のエプロンを手早くつけて、テーブルを拭く志希のことを手伝い始めた。
志希はテーブルを拭く手を休めないまま、明日香に話し掛ける。
「今日は暖かいですね。もうすっかり春という感じで、お散歩をしたら気持ちよさそうです」
「そうだね。桜もまだ綺麗に咲いてるし、絶好のお花見日和ってもんだ」
明日香とふたり、「いいですね、お花見」「いいよね~、お花見~」と笑い合う。
こうしていると、本当の姉妹みたいだ。
「ところで、明日香ちゃんは春休みに、家族でどこかお出掛けはしないのですか?」
「残念ながら、そんな予定はないね。うち、母子家庭なんだ。おっかさんは仕事で忙しいから、あたしに構っているヒマなんざねえのさ」
芝居がかった大仰な仕草で、明日香がやれやれとため息交じりに首を振る。
先程の荒熊さんに続き、なぜかまた地雷を踏み抜いてしまったらしい。のほほんとしていたのから一転、顔を青くした志希は、あわわ……と慄きながら、急いで明日香に頭を下げた。
「ごめんなさい、明日香ちゃん。私、とても辛いことを言わせてしまって……」
「ああ、気にしないでいいよ、姐さん。片親なんて、今時珍しくもないんだしさ」
ペコペコ何度も頭を下げる志希に、明日香はカラッとした笑顔を見せる。
どうやら本当に、明日香は気にしていなかったらしい。明日香を傷つけていなかったとわかり、志希もホッと胸を撫で下ろす。
しかし……。
「おはよう、志希の姐さん! 今日もよろしくね!」
「はい。こちらこそ、よろしくお願いします」
外からひょっこり顔を覗かせたのは、今日も元気な明日香だ。今は小学校が春休みなので、最近は毎日のように顔を見せている。
店に入ってきた明日香は、自分用のエプロンを手早くつけて、テーブルを拭く志希のことを手伝い始めた。
志希はテーブルを拭く手を休めないまま、明日香に話し掛ける。
「今日は暖かいですね。もうすっかり春という感じで、お散歩をしたら気持ちよさそうです」
「そうだね。桜もまだ綺麗に咲いてるし、絶好のお花見日和ってもんだ」
明日香とふたり、「いいですね、お花見」「いいよね~、お花見~」と笑い合う。
こうしていると、本当の姉妹みたいだ。
「ところで、明日香ちゃんは春休みに、家族でどこかお出掛けはしないのですか?」
「残念ながら、そんな予定はないね。うち、母子家庭なんだ。おっかさんは仕事で忙しいから、あたしに構っているヒマなんざねえのさ」
芝居がかった大仰な仕草で、明日香がやれやれとため息交じりに首を振る。
先程の荒熊さんに続き、なぜかまた地雷を踏み抜いてしまったらしい。のほほんとしていたのから一転、顔を青くした志希は、あわわ……と慄きながら、急いで明日香に頭を下げた。
「ごめんなさい、明日香ちゃん。私、とても辛いことを言わせてしまって……」
「ああ、気にしないでいいよ、姐さん。片親なんて、今時珍しくもないんだしさ」
ペコペコ何度も頭を下げる志希に、明日香はカラッとした笑顔を見せる。
どうやら本当に、明日香は気にしていなかったらしい。明日香を傷つけていなかったとわかり、志希もホッと胸を撫で下ろす。
しかし……。