けれど、だからと言って「じゃあ。お言葉に甘えて」とタダで部屋を借りてしまうのは、ちょっと後ろめたい。家賃はいらないというのなら、せめて別の形で荒熊さんの役に立てれば……。
と、そこまで考えた志希の頭に、ひとつアイデアが浮かんだ。
「そうです! それなら家賃の代わりに、家事を任せてください! 私、小さい頃からお母さんの代わりに家のことをやってきたので、家事だけは得意なんです」
「え、いいの!? やった! ぜひお願いします」
志希が提案すると、荒熊さんはラッキーと書かれた顔でコクコク頷いた。
どうやら、志希の提案は荒熊さんにとっても魅力的なものだったようだ。志希としても、一方的にお世話になるばかりとならずに一安心である。
「いや~、ほんと助かるよ。この体だと、家事って割と大変なんだよね~」
「この建物、明らかに人間サイズですものね。確かに、荒熊さんだと大変そうです」
「そうなんだよ。特に、掃除と洗濯がね~」
志希に答えながら、荒熊さんは凝りをほぐすように肩をくるくる回す。
志希は、試しに荒熊さんが家事をしている姿を想像してみた。
自分の体よりも大きな掃除機を、えっちらおっちら引き摺り歩く荒熊さん。洗濯機によじ登って、足をばたつかせながら洗い物と洗剤を投入していく荒熊さん――。
――うん、とても和んだ。
と、表情を緩ませる志希に向かって、荒熊さんが不意に小さな手を差し出してきた。
「まあ、他に決めなきゃいけないこととかができたら、追々相談しながら決めていこう。ひとまずは、これからよろしくね、志希ちゃん」
「はい! こちらこそ、よろしくお願いします!」
柔らかな笑顔を浮かべながら、志希は荒熊さんの手を握り返した。
と、そこまで考えた志希の頭に、ひとつアイデアが浮かんだ。
「そうです! それなら家賃の代わりに、家事を任せてください! 私、小さい頃からお母さんの代わりに家のことをやってきたので、家事だけは得意なんです」
「え、いいの!? やった! ぜひお願いします」
志希が提案すると、荒熊さんはラッキーと書かれた顔でコクコク頷いた。
どうやら、志希の提案は荒熊さんにとっても魅力的なものだったようだ。志希としても、一方的にお世話になるばかりとならずに一安心である。
「いや~、ほんと助かるよ。この体だと、家事って割と大変なんだよね~」
「この建物、明らかに人間サイズですものね。確かに、荒熊さんだと大変そうです」
「そうなんだよ。特に、掃除と洗濯がね~」
志希に答えながら、荒熊さんは凝りをほぐすように肩をくるくる回す。
志希は、試しに荒熊さんが家事をしている姿を想像してみた。
自分の体よりも大きな掃除機を、えっちらおっちら引き摺り歩く荒熊さん。洗濯機によじ登って、足をばたつかせながら洗い物と洗剤を投入していく荒熊さん――。
――うん、とても和んだ。
と、表情を緩ませる志希に向かって、荒熊さんが不意に小さな手を差し出してきた。
「まあ、他に決めなきゃいけないこととかができたら、追々相談しながら決めていこう。ひとまずは、これからよろしくね、志希ちゃん」
「はい! こちらこそ、よろしくお願いします!」
柔らかな笑顔を浮かべながら、志希は荒熊さんの手を握り返した。