「もし迷惑でなければですが――今度、おうちへ遊びに行ってもよろしいですか? もっとお父さんのお話、聞かせてもらいたいです」
立ち止まった祖父の背中へ、志希はおずおずと尋ねる。
せっかく見つかった家族の縁。一緒に暮らすことはできなくても、このまま切れてしまうのは悲し過ぎる。
そう思いつつ志希が待っていると、振り返った祖父がうれしそうに頷いた。
「ああ、もちろんだ。いつでも来てくれ。家内と二人で、待っているよ」
「――ッ! はい!」
祖父へ笑顔で返事をした瞬間、志希は両親との約束を少しだけ果たせたような気がした。
祖父が「それでは、また」と帰っていき、定休日の店内には再び志希と荒熊さんのふたりだけになる。
「あ、そう言えば……荒熊さん、さっきはすみませんでした」
「ん? 何が?」
志希が使っていたテーブルを台布巾で拭きながら謝ると、カウンター内で新聞を読んでいた荒熊さんが不思議そうに首を傾げた。何のことを謝られているのかわからないと言った様子だ。
「私の今後のことです。荒熊さんに相談することもなく、この店に残ることを勝手に決めてしまって……」
「ああ、そのことか」
立ち止まった祖父の背中へ、志希はおずおずと尋ねる。
せっかく見つかった家族の縁。一緒に暮らすことはできなくても、このまま切れてしまうのは悲し過ぎる。
そう思いつつ志希が待っていると、振り返った祖父がうれしそうに頷いた。
「ああ、もちろんだ。いつでも来てくれ。家内と二人で、待っているよ」
「――ッ! はい!」
祖父へ笑顔で返事をした瞬間、志希は両親との約束を少しだけ果たせたような気がした。
祖父が「それでは、また」と帰っていき、定休日の店内には再び志希と荒熊さんのふたりだけになる。
「あ、そう言えば……荒熊さん、さっきはすみませんでした」
「ん? 何が?」
志希が使っていたテーブルを台布巾で拭きながら謝ると、カウンター内で新聞を読んでいた荒熊さんが不思議そうに首を傾げた。何のことを謝られているのかわからないと言った様子だ。
「私の今後のことです。荒熊さんに相談することもなく、この店に残ることを勝手に決めてしまって……」
「ああ、そのことか」