志希が問うと、祖父は肩を竦めてみせた。

「実はね、私も拓真と愛希さんの結婚に反対していたんだ。それ故に、拓真とは喧嘩別れになってしまってね……。だから、拓真が病気になったと愛希さんに聞かせられた時も意地になって……なかなか会いに行こうとしなかったんだ」

 後悔先に立たずとはこのことだよ、と祖父は嘆くように語る。

「そして、ようやく会いに行く気になった矢先に、拓真は容体が急変してこの世を去ってしまった。葬式で拓真の死に顔を見た時に、私は自分の愚かさを思い知ったよ。なんであんなしょうもないことで意地になっていたんだろうとね」

 言葉通り、祖父の顔には今なお拭い去れない後悔が滲んでいた。

 そして、そんな祖父の姿を目の当たりにして、志希は悟った。祖父も、自分と同じだったのだと……。
 理由や背景は違えども、母が亡くなるまでに謝れなかった志希と同じく、祖父も父が亡くなるまでに仲直りできなかった。そのことを、祖父は十三年間ずっと悔いてきたのだ。

 だからこそ、祖父は必死になって志希を探してくれたのかもしれない。息子の忘れ形見である志希を、息子の代わって守るために……。

「…………。ごめんなさい」

 志希は、祖父に対して申し訳なさそうに頭を下げる。
 結果的に、志希は祖父が父へ贖罪する機会を奪ってしまったのだ。同じ後悔を抱えてきた者として、謝らずにはいられない。

 だが、祖父は謝罪する志希を豪快に笑い飛ばした。