母の方も、そんな志希の答えに満足したのだろう。額を離し、太陽のように明るい笑顔で、「うん! それでこそ私の娘だ!」と言ってくれた。
そして、志希の前を父に譲る。
「拓真、次はあんたの番よ。最後なんだから、父親らしくビシッと決めなさい」
「愛希さん、それはハードル上げ過ぎだよ」
母から特大のバトンを渡され、父がどうしたものかという顔で志希の前に立つ。
父は少し考えた後、志希の肩に手を置き――。
「志希、幸せになりなさい」
「それ、もう私が言った」
志希へ言葉を贈った瞬間に母からダメ出しされ、困ったと言いたげに苦笑した。
「愛希さん、ちょっと厳し過ぎない?」
「娘の門出に妥協なんかできるか! いいから、もっと気の利いた言葉を考えなさい」
「……はい」
母に説教された父が、トホホと肩を縮こまらせる。
そんなふたりの姿が微笑ましくて、志希は思わず笑ってしまった。このふたりは相変わらず仲良しさんだと、改めて実感した。
その間に父も掛けるべき言葉を思いついたのか、テイク2とばかりにもう一度志希の方へ向き直った。
そして、志希の前を父に譲る。
「拓真、次はあんたの番よ。最後なんだから、父親らしくビシッと決めなさい」
「愛希さん、それはハードル上げ過ぎだよ」
母から特大のバトンを渡され、父がどうしたものかという顔で志希の前に立つ。
父は少し考えた後、志希の肩に手を置き――。
「志希、幸せになりなさい」
「それ、もう私が言った」
志希へ言葉を贈った瞬間に母からダメ出しされ、困ったと言いたげに苦笑した。
「愛希さん、ちょっと厳し過ぎない?」
「娘の門出に妥協なんかできるか! いいから、もっと気の利いた言葉を考えなさい」
「……はい」
母に説教された父が、トホホと肩を縮こまらせる。
そんなふたりの姿が微笑ましくて、志希は思わず笑ってしまった。このふたりは相変わらず仲良しさんだと、改めて実感した。
その間に父も掛けるべき言葉を思いついたのか、テイク2とばかりにもう一度志希の方へ向き直った。