先日と同じだ。荒熊さんの言葉で、志希の中にある負の感情の蓋が外れた。それも、前回より盛大な外れ方だ。心に溜め込んできたものを、志希は涙と一緒にすべて外へと押し出す。
そして、そんな志希を前にした荒熊さんは……ニヤリと笑っていた。なぜなら、これが荒熊さんの狙いだから。
荒熊さんも志希が助けを拒絶することはわかっていた。では、どうすればいいか。そんなのは簡単だ。決壊寸前の心に刺激を与え、拒絶の理由も何もかも吐き出させてしまえばいい。
「もうダメなんです。私は、明日香ちゃんとは違う。もうお母さんにすべてを話して、謝ることもできない。全部全部、私の所為。私が、明日香ちゃんみたいに勇気を持てなかったから、全部手遅れになって……。もう、私にはどうしようもなくて……。もうどうしたらいいかわからなくて……。ずっと、苦しくて……」
そうすれば、最後に必ず残るはずだから。パンドラの箱から絶望が飛び出した後、最後に希望が残っていたように。志希の心の箱にも、強がりや自虐心、罪悪感によって追いやられていた真の願いが……。
「――荒熊さん、助けてください……」
「もちろん。君の願い、確かに聞き届けたよ」
荒熊さんは、泣きじゃくり床にへたり込んだ志希に、強く、そして優しく笑い掛けた。
そして、そんな志希を前にした荒熊さんは……ニヤリと笑っていた。なぜなら、これが荒熊さんの狙いだから。
荒熊さんも志希が助けを拒絶することはわかっていた。では、どうすればいいか。そんなのは簡単だ。決壊寸前の心に刺激を与え、拒絶の理由も何もかも吐き出させてしまえばいい。
「もうダメなんです。私は、明日香ちゃんとは違う。もうお母さんにすべてを話して、謝ることもできない。全部全部、私の所為。私が、明日香ちゃんみたいに勇気を持てなかったから、全部手遅れになって……。もう、私にはどうしようもなくて……。もうどうしたらいいかわからなくて……。ずっと、苦しくて……」
そうすれば、最後に必ず残るはずだから。パンドラの箱から絶望が飛び出した後、最後に希望が残っていたように。志希の心の箱にも、強がりや自虐心、罪悪感によって追いやられていた真の願いが……。
「――荒熊さん、助けてください……」
「もちろん。君の願い、確かに聞き届けたよ」
荒熊さんは、泣きじゃくり床にへたり込んだ志希に、強く、そして優しく笑い掛けた。