「悪ぃ。待たせたかな?」
「いえ、今、来たところです」
「そっか。しっかし、ほんとに本物なんだな、ミユメ。まさか憧れの歌姫と仲間《ピア》になれるとは」
女戦士さんがサッと髪を払った。
「新しいテスターをスカウトしてきたって、まさかあのミユメだとは想像できなかったわ。何て言ってナンパしてきたのよ?」
「だから、スカウトだってば。ナンパじゃねぇの。まともに、フツーに、話を通したの」
緑のローブの魔法使いさんは、困り顔で笑った。笑顔のヴィジュアルに汗のマークの組み合わせ。セクシーな印象が一気にお人好しっぽなって、親しみが湧く。
「まぁまぁ、二人とも。まずは彼女とピアにならないと」
魔法使いさんはパラメータボックスを開示した。
name : Nicol(♂)
class : highest
peer : Laugh-Maker, SHA-LING
「ボクはニコル。とりあえず、このテストの間、よろしくね」
アタシは急いでコントローラを操作して、パラメータボックスを呼び出した。
「初めまして、ミユメです。よろしくお願いします」
ミユメにお辞儀のアクションをさせて、ニコルさんからのピア申請を承認する。
Nicol became your peer!
ニコルさんがアナタのピアになりました、というポップアップ。と同時に、別のピア申請も二件来た。女戦士のシャリンさんと、朝綺先生はラフ・メイカーという名前らしい。アタシは二人からの申請を承認する。
SHA-LING became your peer!
Laugh-Maker became your peer!
シャリンさんはチラッと微笑んで右手を差し出した。
「よろしくね」
アタシはシャリンさんの右手を握った。
「はい、よろしくお願いします。あの、シャリンさんって、もしかして。コロシアムの記録保持者の?」
「そうよ。知ってたの?」
「もちろんです! 神速のシャリンって、すごく有名ですから。その髪の色、すごくキレイですよね!」
シャリンさんは、ピアズでも最強って呼ばれるうちの一人だ。実は、オーロラカラーの髪を見た瞬間、ピンと来ていた。名前を見て、やっぱりそうだったって。すごい人とピアになれた。ちょっと感動してしまう。
でも、やっぱりいちばん嬉しいのは朝綺先生だ。じゃなくて、こっちではラフ・メイカーっていう名前だっけ。アタシは「?」を頭上の吹き出しに浮かべてみせた。
「先生のこと、こっちでは何とお呼びすればいいですか?」
「オレ?」
「はい」
「ラフでいいよ」
「わかりました、ラフ先生」
黒髪の双剣戦士がズルッとずっこけた。
「せ、先生って、あのなぁ……」
「ダメですか? 何となく、いつもの癖で」
「ダメとは言わねぇが、何かこう……まあ、いっか。好きなように呼んでくれ」
ずっこけたと思ったら、立ち直って頭を掻いて、やれやれと首を振って、肩をすくめて。最後には、アタシの頭にポンと手を載せた。
ラフ先生はすごくよく動く。アタシはひそかにビックリした。こんなに自然に、とても表情豊かに、まるで本当に生きているみたいにアバターを操作する。ここまで徹底してピアズの世界に入り込むプレイヤがいるなんて。
「いえ、今、来たところです」
「そっか。しっかし、ほんとに本物なんだな、ミユメ。まさか憧れの歌姫と仲間《ピア》になれるとは」
女戦士さんがサッと髪を払った。
「新しいテスターをスカウトしてきたって、まさかあのミユメだとは想像できなかったわ。何て言ってナンパしてきたのよ?」
「だから、スカウトだってば。ナンパじゃねぇの。まともに、フツーに、話を通したの」
緑のローブの魔法使いさんは、困り顔で笑った。笑顔のヴィジュアルに汗のマークの組み合わせ。セクシーな印象が一気にお人好しっぽなって、親しみが湧く。
「まぁまぁ、二人とも。まずは彼女とピアにならないと」
魔法使いさんはパラメータボックスを開示した。
name : Nicol(♂)
class : highest
peer : Laugh-Maker, SHA-LING
「ボクはニコル。とりあえず、このテストの間、よろしくね」
アタシは急いでコントローラを操作して、パラメータボックスを呼び出した。
「初めまして、ミユメです。よろしくお願いします」
ミユメにお辞儀のアクションをさせて、ニコルさんからのピア申請を承認する。
Nicol became your peer!
ニコルさんがアナタのピアになりました、というポップアップ。と同時に、別のピア申請も二件来た。女戦士のシャリンさんと、朝綺先生はラフ・メイカーという名前らしい。アタシは二人からの申請を承認する。
SHA-LING became your peer!
Laugh-Maker became your peer!
シャリンさんはチラッと微笑んで右手を差し出した。
「よろしくね」
アタシはシャリンさんの右手を握った。
「はい、よろしくお願いします。あの、シャリンさんって、もしかして。コロシアムの記録保持者の?」
「そうよ。知ってたの?」
「もちろんです! 神速のシャリンって、すごく有名ですから。その髪の色、すごくキレイですよね!」
シャリンさんは、ピアズでも最強って呼ばれるうちの一人だ。実は、オーロラカラーの髪を見た瞬間、ピンと来ていた。名前を見て、やっぱりそうだったって。すごい人とピアになれた。ちょっと感動してしまう。
でも、やっぱりいちばん嬉しいのは朝綺先生だ。じゃなくて、こっちではラフ・メイカーっていう名前だっけ。アタシは「?」を頭上の吹き出しに浮かべてみせた。
「先生のこと、こっちでは何とお呼びすればいいですか?」
「オレ?」
「はい」
「ラフでいいよ」
「わかりました、ラフ先生」
黒髪の双剣戦士がズルッとずっこけた。
「せ、先生って、あのなぁ……」
「ダメですか? 何となく、いつもの癖で」
「ダメとは言わねぇが、何かこう……まあ、いっか。好きなように呼んでくれ」
ずっこけたと思ったら、立ち直って頭を掻いて、やれやれと首を振って、肩をすくめて。最後には、アタシの頭にポンと手を載せた。
ラフ先生はすごくよく動く。アタシはひそかにビックリした。こんなに自然に、とても表情豊かに、まるで本当に生きているみたいにアバターを操作する。ここまで徹底してピアズの世界に入り込むプレイヤがいるなんて。