それからすぐにニコルさんがログインした。その後、シャリンさんとラフさんが来た。オゴデイくんのことを謝ったら、別にいいって言われた。
「今回のミッションのキーキャラクターはオゴデイよ。チャンスは何度も訪れるわ。それより、ニコルもルラもパラメータボックスを確認してほしい。ゲージカウンタが増えてるでしょ?」
アタシはパラメータボックスを開いてみた。スタミナやヘルスのゲージの下に、見慣れないゲージカウンタがある。横たわった棒状のゲージが示す値は半分以下だ。
「このゲージ、何ですか?」
ちょうど半分までがブルーに塗られている。半分を超えると、イエロー。満タン近くはレッドゾーンだ。
「データの乱れ具合を示してるの。今はブルーゾーンでしょ?」
「はい」
「ボクも問題ない」
アタシたちの答えに、シャリンさんが説明を続けた。
「ラフとオゴデイが同じフィールドにいたら、イエローになる。昨日みたいなデータの乱れ方をしたらレッドね。レッドに達したら、すぐにログアウトしてほしい」
ニコルさんがあごをつまんでうなずいた。
「緊急避難の指標を示すゲージってわけか」
「そういうことよ」
「アタシも了解しました!」
シャリンさんの声、今日は少しかれてる。泣いたのかもしれないな。アタシも泣いたけど、声、大丈夫かな?
ストーリーを進めると、ジョチさんと一緒にチンギスさんの本軍に戻ることになった。チンギスさんが4兄弟に話があって、アタシたちにも同席してほしいんだって。
「何の話でしょうね?」
馬に乗って先を急ぎながら、アタシが首をかしげる。ジョチさんが、ひっそりと微笑んだ。
「おそらく、蒼狼族の行く末を定める話だろう。オレはようやく重荷を下ろすことができる」
「重荷、ですか?」
「オレたち兄弟は皆、同じことを思っているはずだ。いや、アイツを除く3人は皆、か。ルラたちにも、オレたちの決断を見届けてほしい」
アイスブルーの目でアタシを見下ろすジョチさんは、吹っ切れた表情がすがすがしくて優しい。
ちなみに、アタシとジョチさんが先頭で、後ろにシャリンさんとラフさんがいて、最後尾がニコルさんだ。
なんか、ジョチさんを始め、チンギスさんちの4兄弟はアタシにばっかり話しかける。気のせい? たまたま? とか思ってたら、シャリンさんがいきなりすごいことを言い出した。
「ルラはモテるわね」
「ふぇっ!? な、な、なな……!?」
「アクションもリアクションも大きい。言葉も多い。だからAIのセンサにかかりやすい。AIにとって、目と耳を惹かれて仕方ない存在なのよ」
モテるってそういう意味ですか。確かにね。アタシ、ルラを動かしまくるし、一人言でしゃべっちゃうし。
ニコルさんが柔らかボイスで笑った。
「ルラちゃんみたいな子に惹かれるのは、AIに限らないよ。現実でも、きっと同じ。ルラちゃんの明るさを好きになる男の子、いるんじゃないかな?」
「え、えぇ~っ、まさか!」
大きな汗マークを浮かべておどけてみせながら、胸がズキッとした。瞬一を思い出した。アタシのことを好きだと言ったとき、叩き付けるような勢いがあった。叩き付けられて痛かった。昨日ケンカしたときには、もっと強い言葉をぶつけられた。
ダメだ、アタシ。現実をこっちに持ち込んじゃダメ。今のアタシは笑音じゃなくて、ルラなんだから。
「今回のミッションのキーキャラクターはオゴデイよ。チャンスは何度も訪れるわ。それより、ニコルもルラもパラメータボックスを確認してほしい。ゲージカウンタが増えてるでしょ?」
アタシはパラメータボックスを開いてみた。スタミナやヘルスのゲージの下に、見慣れないゲージカウンタがある。横たわった棒状のゲージが示す値は半分以下だ。
「このゲージ、何ですか?」
ちょうど半分までがブルーに塗られている。半分を超えると、イエロー。満タン近くはレッドゾーンだ。
「データの乱れ具合を示してるの。今はブルーゾーンでしょ?」
「はい」
「ボクも問題ない」
アタシたちの答えに、シャリンさんが説明を続けた。
「ラフとオゴデイが同じフィールドにいたら、イエローになる。昨日みたいなデータの乱れ方をしたらレッドね。レッドに達したら、すぐにログアウトしてほしい」
ニコルさんがあごをつまんでうなずいた。
「緊急避難の指標を示すゲージってわけか」
「そういうことよ」
「アタシも了解しました!」
シャリンさんの声、今日は少しかれてる。泣いたのかもしれないな。アタシも泣いたけど、声、大丈夫かな?
ストーリーを進めると、ジョチさんと一緒にチンギスさんの本軍に戻ることになった。チンギスさんが4兄弟に話があって、アタシたちにも同席してほしいんだって。
「何の話でしょうね?」
馬に乗って先を急ぎながら、アタシが首をかしげる。ジョチさんが、ひっそりと微笑んだ。
「おそらく、蒼狼族の行く末を定める話だろう。オレはようやく重荷を下ろすことができる」
「重荷、ですか?」
「オレたち兄弟は皆、同じことを思っているはずだ。いや、アイツを除く3人は皆、か。ルラたちにも、オレたちの決断を見届けてほしい」
アイスブルーの目でアタシを見下ろすジョチさんは、吹っ切れた表情がすがすがしくて優しい。
ちなみに、アタシとジョチさんが先頭で、後ろにシャリンさんとラフさんがいて、最後尾がニコルさんだ。
なんか、ジョチさんを始め、チンギスさんちの4兄弟はアタシにばっかり話しかける。気のせい? たまたま? とか思ってたら、シャリンさんがいきなりすごいことを言い出した。
「ルラはモテるわね」
「ふぇっ!? な、な、なな……!?」
「アクションもリアクションも大きい。言葉も多い。だからAIのセンサにかかりやすい。AIにとって、目と耳を惹かれて仕方ない存在なのよ」
モテるってそういう意味ですか。確かにね。アタシ、ルラを動かしまくるし、一人言でしゃべっちゃうし。
ニコルさんが柔らかボイスで笑った。
「ルラちゃんみたいな子に惹かれるのは、AIに限らないよ。現実でも、きっと同じ。ルラちゃんの明るさを好きになる男の子、いるんじゃないかな?」
「え、えぇ~っ、まさか!」
大きな汗マークを浮かべておどけてみせながら、胸がズキッとした。瞬一を思い出した。アタシのことを好きだと言ったとき、叩き付けるような勢いがあった。叩き付けられて痛かった。昨日ケンカしたときには、もっと強い言葉をぶつけられた。
ダメだ、アタシ。現実をこっちに持ち込んじゃダメ。今のアタシは笑音じゃなくて、ルラなんだから。