ニコルさんに聞いたところによると、ピアズには、本気の戦争描写はないんだって。同じく、エッチすぎる描写もない。R12からR15のレイティングが厳しく定められてて、ステージごとに詳しい保証書も発行されてる。
「無料で子どもでも楽しめるゲームだからね。でも、ピアズの人間模様はよく造り込まれてて、残虐なシーンが具体的に描かれなくても、シリアスなストーリーはガツンと来るよね」
「そうですね。めっちゃ泣いちゃったこと、何度もありますもん。ロマンスのシーンでは、すっごいドキドキしますし」
「ロマンスは、もうちょっと突っ込んで描いてほしいけど。レイティングの年齢引き上げキャンペーン、署名してきたところ」
「えーっ、ニコルさんでも、あーるじゅうはちとか見たいんですか?」
「見たくない男はいないよ」
 なんか、すっごい意外。でも萌えちゃう。ギャップ萌え。
 まあ、エッチの話は置いといて、サロール・タルのシナリオに戦争の描写がなくてよかった。チンギスさんたちは戦争をしてるけど、直接それを描かないっていう演出のおかげで、プレイするアタシは気持ちが楽だ。
 チンギスさんちの兄弟のうち上3人が率いる西軍は、先鋒となってアルチュフ国の軍隊を次々と破った。アルチュフ軍は途中からガタガタになった。逃げ出したり、降参して蒼狼軍に加わったり。
 そして、アルチュフ王族も戦いを放棄した。都を明け渡して逃げたんだ。文化都市ジョンドゥは、無傷で蒼狼軍の手に入った。
 トルイくんが、にこにこと尻尾を振った。
「ほんとに強いヤツは戦わないんだよ。戦わなくても勝てるくらい強いんだもん。だから、強さを思い知らせるまでは容赦せず、殺し尽くすけどね♪」
 笑顔でそれ言うの、やめて。