佐藤先生はその言葉にゆっくり頷く。クラスメイト達はこれから何が起きるのかと興味津々に先生を見つめていた。

「草壁君。君は今、カードは『盗まれた』と言ったね? なぜそう思ったんだい?」
「だって、いつの間にかなくなったんです。みんなで捜したのに見つからなかった。っていうことは、盗まれたんだ」と草壁君は口を尖らせてムキになって言った。
「では、あの日のみんなの動きを整理してみようか」

 佐藤先生がチラリと私を見たので、私は頷いて立ち上がった。

「ここからは私、三田が説明させて頂きます」

 クラスメイト全員の視線が一身に集まるのを感じた。めちゃくちゃ緊張してくる。私はすーっと息を吸い込んだ。頑張れ、UMA探偵団!

「みんなも知っているとおり、一昨日草壁君のバトマジカードがなくなるという事件が起こりました。時系列に整理したので見て下さい」

 私が説明を始めると、朋ちゃんが立ち上がってノートの重要部分だけを黒板に転記し始めた。

「バトマジカードが中休みにはあったことはクラスの何人もが見ています。でも、お昼休みにはバトマジカードはなくなっていました。あの日の時間割は3時間目が国語、4時間目が体育、交流給食に清掃。中休みからお昼休みの間に教室から人気(ひとけ)がなくなってカードを盗れるとしたら、体育と交流給食の時間しかありません」

 ここで、朋ちゃんは黒板に書かれた体育と交流給食の部分に赤丸をつけた。

「体育の時間、見学者が2人いました。山下さんと石川君です」

 クラスメイト達の視線が一気に2人に集まる。石川君はともかく、山下さんはびっくりした顔をしていた。

「私はしてないわ! 石川君と一緒に見学していたもの!」

 山下さんが咄嗟に立ち上がって大きな声で叫ぶ。私もそれに頷いた。

「そうです。石川君と山下さんは一緒に体育を見学していました。ですから、お二人にはお互いにアリバイがありカードを盗ることは無理です」

 朋ちゃんが『石川君』、『山下さん』の字の隣にバツを入れた。それを見て安心したように石川さんも座る。

「つぎの可能性は学年交流給食です。この時、飯田君が遅れて来て、遠野君は終わりに抜けています。飯田君は本棟1階のトイレに行ったそうで、始まりの挨拶の最後にはいました。また、本棟の出口までは牧多君も一緒でした」