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「よろしければ、いまのお話、詳しく教えていただけませんか」
いきなり背後から掛けられた声に、高倉先輩と僕はそろって振り返る。
するとそこには、ひとりの女性が立っていた。
「わたし、ここで働いてるんです」
僕は彼女が指差す建物を見上げた。
『ここ』というのは、僕たちが営業回りの途中でたまたま見つけた小さな映画館のことに違いない。
それにしても……と、ふたたび彼女に向き直る。アルバイトの大学生だろうか。
日だまりのようなほほ笑みを浮かべた、とても素敵なひとだった。
白く透き通った肌と大きな瞳が印象的だ。
涼しげな風がさわさわと吹き渡る。
うしろでひとつに束ねた髪の毛が、腰の近くで揺れた。
僕の隣の高倉先輩は、どんな表情を浮かべていただろう。僕にはわからなかった。なぜって……彼女に見惚れていたから。
「あ、どうも」
しばらくしてはっと我に返り、僕も慌てて頭を下げた。
これが、僕――逢原呼人と、彼女――彩堂かすみさんとの出会いだ。
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「よろしければ、いまのお話、詳しく教えていただけませんか」
いきなり背後から掛けられた声に、高倉先輩と僕はそろって振り返る。
するとそこには、ひとりの女性が立っていた。
「わたし、ここで働いてるんです」
僕は彼女が指差す建物を見上げた。
『ここ』というのは、僕たちが営業回りの途中でたまたま見つけた小さな映画館のことに違いない。
それにしても……と、ふたたび彼女に向き直る。アルバイトの大学生だろうか。
日だまりのようなほほ笑みを浮かべた、とても素敵なひとだった。
白く透き通った肌と大きな瞳が印象的だ。
涼しげな風がさわさわと吹き渡る。
うしろでひとつに束ねた髪の毛が、腰の近くで揺れた。
僕の隣の高倉先輩は、どんな表情を浮かべていただろう。僕にはわからなかった。なぜって……彼女に見惚れていたから。
「あ、どうも」
しばらくしてはっと我に返り、僕も慌てて頭を下げた。
これが、僕――逢原呼人と、彼女――彩堂かすみさんとの出会いだ。
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