「人捜しに来たんです」
ともかく私は自分が客でないことを店主に示しました。その言葉に先ほどの客が一瞬私を警戒するように見上げましたが、すぐに興味なさそうに視線を逸らしました。明らかに女子高生だと分かる服装で来たことは正解だったのです。
店主が黙って頷くのを確認するやいなや、ずんずんと薄暗い店の奥へ足を進めます。
現在の喫茶店のように清潔で明るい店内とはほど遠い、電球が半ば切れたような程度の灯りと、店の中を見通せない配置になっていました。
でも、ここまで来てしまったのだから怯えてたって仕方ないわ――そんな開き直りの心境です。
やはりここへ来たのは正解でした。店の奥のテーブル席で片肘をついて雑誌を読みながら――なんと煙草を吸っている阿方瑛子の姿が、私の目に飛び込んできました。
その時の驚きと言ったら!
まさかF女子学院の一生徒が、喫煙!
でも、その時胸の中に湧き上がってきた感情は、決して軽蔑や怒りではありませんでした。ましてや悲しみでもありません。
格好いい――ふと頭をよぎった言葉。
どうしてだか分かりませんが、彼女の姿を見た瞬間、そう感じていたのです。
近付いていくと、彼女はちらりと私を見上げました。そこで声をかけようとしたのですが、一瞬で彼女は再び視線を雑誌へ落としてしまいます。
クラスメイトだということがわかっていないのかしら? と不安にもなりましたが、そうではないようでした。
ともかく私は自分が客でないことを店主に示しました。その言葉に先ほどの客が一瞬私を警戒するように見上げましたが、すぐに興味なさそうに視線を逸らしました。明らかに女子高生だと分かる服装で来たことは正解だったのです。
店主が黙って頷くのを確認するやいなや、ずんずんと薄暗い店の奥へ足を進めます。
現在の喫茶店のように清潔で明るい店内とはほど遠い、電球が半ば切れたような程度の灯りと、店の中を見通せない配置になっていました。
でも、ここまで来てしまったのだから怯えてたって仕方ないわ――そんな開き直りの心境です。
やはりここへ来たのは正解でした。店の奥のテーブル席で片肘をついて雑誌を読みながら――なんと煙草を吸っている阿方瑛子の姿が、私の目に飛び込んできました。
その時の驚きと言ったら!
まさかF女子学院の一生徒が、喫煙!
でも、その時胸の中に湧き上がってきた感情は、決して軽蔑や怒りではありませんでした。ましてや悲しみでもありません。
格好いい――ふと頭をよぎった言葉。
どうしてだか分かりませんが、彼女の姿を見た瞬間、そう感じていたのです。
近付いていくと、彼女はちらりと私を見上げました。そこで声をかけようとしたのですが、一瞬で彼女は再び視線を雑誌へ落としてしまいます。
クラスメイトだということがわかっていないのかしら? と不安にもなりましたが、そうではないようでした。