「大津快晴‼よく聞け‼」
また怒鳴ってるし……。
快晴は怒鳴らなくてもちゃんと話聞いてくれるよ……。
「雫は俺がもらう‼牧村雫から武原雫になるんだ‼ラスボスはお前だったな?雫の夫になる俺をどう思う?不満か?」
「え?」
結婚なしじゃないの?
私がビックリしていると、更に驚くことが起こる。
「ずっと……ずっと、雫を見てくれて、支えてくれてありがとう……。これからも変わらずに見守り続けてほしい。でも、俺は雫を不幸にしないと快晴くんに誓う。雫にも征規くんにも春那ちゃんにも。そして何より、親友のキミに雫を幸せにすると誓う。ダメか……?俺じゃ許せないか?」
お墓の前に座り込んで武原さんは涙をボロボロと流している。
私もそれを見て涙がこみ上げてくる。
「武原さん……?」
私が武原さんの肩に手を置くと、声を上げて本気で泣き始めてしまった。
普段は仕事柄着ないスーツをヨレヨレにしながらお墓の前で突っ伏して泣きまくった武原さんがようやく顔を上げた。
鼻をすすりながらポツリと言う。
「ごめん。みっともないしカッコ悪くて。でも、雫から快晴くんとの話を聞いてる時も泣きそうになっていたんだ。そして、親友の雫を置いて死んでしまったことへ怒りも感じた。ラスボスだなんて言うから、絶対納得させてやろうと息巻いて墓まで乗り込んだのに、墓の前に立ったら、快晴くんだってまだまだ生きていたかっただろうし、雫や征規くんや春那ちゃんと大人になっても一緒に笑っていたかっただろうとか考えたら、涙が止まらなくて悲しくて、俺も快晴くんに会いたかったって思うと余計に涙が出てきてしまった。こんな情けない奴に雫がもらわれるのは許せないだろうな」