雨がもう止みそうな中、二人で快晴のいる墓地へタクシーで向かっている。

 鼻息荒すぎない?と突っ込みたくなるほどに武原さんは息を巻いている。

 やがてタクシーが墓地へ着くと
「1時間待っていてくれ」
 と運転手に言った。

 それからグルグル回りを見ながら「ラスボスはどこだ」と言っている。

「あの……、快晴のお墓はこっち。この下段に大きな木が見えるでしょ?あそこの一角だよ」

 小声で言うと、「待ってろよ‼ラスボス‼」と言いながら走って行く。
 もう30手前の大人の男とは思えない。小学生かよ……と言いたくなる。

 プロポーズを受けた後に結婚の報告に武原さんを誘って来ようと思っていたのに、予定が滅茶苦茶だ。

 私が快晴のお墓に着くと、息を切らせた武原さんが『大津家』のお墓を睨みつけている。睨まれる快晴が気の毒すぎる。

「快晴にそんなに怒らないでよ。おかしいよ?快晴は何も悪いことしてないでしょ」
 あまりにすごい形相で睨んでいるものだから、ついつい私も強めに言ってしまう。

 私の方までキっと睨んだから、もう末期だな……そして結婚すらなくなるんだろうと、残念に思うよりも結構どうでもよくなってきている。