あれから数年。


 私は望み通りにケアワーカーとして働き、人は悩みや苦悩を持たずには生きていけないんだろうと思う日々。自分もそうであったように。

 高校一年生になった杏奈は世界共通の手話を勉強している。パラリンピックなどで世界中のアスリートとインアタビュアーとして世界を繋ぐ手話通訳をしたいのだという。いい夢だと思う。
 杏奈にしか出来ない夢のような気もする。

 そして、征規は大学に残り、講師をしながら自分が納得いくまで研究を続けたいということだ。萌えーの女子に告白したらクリアのスマホゲームを作っていた時より全然雰囲気も変わり、コンピューターができる限界の勉強をいているのだとか。

 春那はネット販売もしつつ、共同ではあるけれど狭いけれど店舗を持っている。マニアの子には人気があるらしく、近く、専門雑誌に「隠れた名店」なんて名前で、どこぞの料理屋だよって呆れていたけれど、小さいけれど記事になるらしい。

「願掛けも終わったから」と髪も昔のようにロングになった。私が快晴を認めるための願掛けでボブにしていたらしい。
 みんなそれぞれに新しいスタートを切っているのだ。