授賞式が始まり、スポンサーなどの長い挨拶も終わった頃に
『それは今年の〇〇社制汗剤〇〇のイメージ作品の受賞に移ります。佳作……』

 立食パーティー会場とは別の椅子が山ほど置かれたホールで授賞式が始まる。
 後ろの布に隠された大きくしたパネルの作品が受賞者が壇上に上がると布が開かれる。

「夏」って感じの明るい青空で女の子が笑っている。受賞するだけあって、構図とかがすごい。

 和やかに授賞式は進んでいき、
『次は優秀賞の発表です。〇〇大学『半夏雨』グループ所属の牧村雫さんです』
 壇上に上がるのは緊張するし、大きなパネルにされた自分の作品を見るのは初めてだ。

 私が上がりきると、すっと目隠しになっていた布が開いて、作品が出る。

 報道陣も当たり前にいて、専門の人もいるなか、「ほー」とか「これはなかなか斬新ですね」などヒソヒソと声が聞こえる。

 私の作品はセピア色で、春那と征規に扮してもらった高校生の男女が笑いながら、男子が女子の頭に手を置いている写真。
 あんまりアングルを近づけると高校生ではないのがばれてしまうので、バレずに、絶妙に楽しそうな二人の構図を作るのに相当苦労した。
 一応夏設定のつもりだから、ただでさえ真冬に夏服の二人にたっぷりと、水吹きで汗を散りばめた。

 撮影が終わってから春那は風邪をひいたと電話をしてきて、大好物のたこ焼きを何度も持って行った。