数日後。

 天気予報を見ながら、雪や雨が降らない気温もわりと高く、晴れた日は今日しかないと思って、あの公園に二人にきてもらった。

「ちょっと、雫‼この季節にこんなコスプレみたいな格好させるとか鬼かよ‼」
 黒髪のロングヘアのカツラまで被せられた春那がブルブル震えながら文句を言う。

「これ終わったらおでん食べに行こう。私、いいおでん屋発見したから」
 私がそう言っても、征規も春那もブーブー言っている。

 そりゃそうだ。
 2月だっていうのに、大学3年生、春那はもうすぐ専門学校を卒業して社会人になるのに、私たちが通っていた高校の夏服を着させられているのだから。
 制服を二人とも捨てずに持っていてくれて、しかもサイズも変わらないなんて奇跡すぎる。

「俺、こんな頭で高校生男子とかできるわけ?」
 征規はロン毛ではないけれど割と長めの髪形で明るい茶色にしている。

「構図で髪型なんかわからなくできるし、写真に征規の髪色は反映されないから気にしないで」

「そっすか。って‼マジで寒いんだけど‼早く終わらせてくれよ‼」

「やばいー‼凍死するー」

 そんな二人の文句をシャットアウトしてカメラの配置や、征規と春那を何度も何度も体制を変えさせて100枚以上写真を撮った。

 終わったのは、3時間後で、二人の唇は紫になっていた。

「ごめん‼でもありがとう‼おでん行こうよ、もち奢ります‼」
 なかなかの出来に満足している私に比べて二人は「おでんより暖かい服着させて」と泣きそうになっていた。