またあてもなく車を走らせていると見慣れた景色。杏奈の養護学校へ行く道だ。
養護学校の先生に挨拶も考えたけれど、何度もツッコむ。私の今日の服装は喪服だと。
せっかくここまで来たんだけどな……。と周りをチラリと見ると、公園がある。
私と快晴が過ごした公園。
冬だから人は全然いないけれど。
たくさん、たくさん思い出がつまった公園。
パーキングに車をとめて眺めていた。
たくさんのことを話した。
私を嫌いだと思っていたのに、人に言えない辛いことは俺が全部聞いてやると言った。
事実、嫌な顔一つしないで真剣に聞いてくれた。時々辛さに泣いてしまう私の頭を優しく撫でてくれた。
下らないこともどれだけ話しただろう。さっき校門で見かけた子たちのように「バカだ」「バカだ」とお互い何百回と言っただろうか。
そして、卒業間近、『原点回帰』と言いながら、私を親友だといい、私も親友だと思っていると言った。
この友情は永遠に、快晴の優しさは永遠に続くと信じていた。
思い出しただけで涙がポロっと出てくる。
蓋があいた私はさらに泣き虫になってしまって、ちょっとしたことで快晴を想いだすだけで涙が出てしまう。
今はそれでもいい。快晴の死を認めてスタートラインに立ったばかりなのだから。
でも、いつかは快晴のことで笑える私になりたい。