そう考えているうちに男女4人組が校門から出てきた。

「あんたのせいで遅れたんだからね‼バカ‼」

「しょうがねーじゃん、呼び出しかかったんだから。先に行けばいいだろ?」

「ふざけんなー‼あそこのパンケーキ屋さん何時間並ぶと思ってる‼ばかやろう‼並んでも食ってやるー‼無論、容赦なくあんたの驕りね」

「俺ばかりじゃん、〇〇―、お前もなんとか言ってくれよー」

「…俺は人の金でパンケーキが食えればいい」

 私は吹き出しそうになるのを口元を押さえて耐えながら4人を見ていた。

 高校生の頃の自分たちのようですごく笑いそうになってしまった。

 懐かしい。私たちもあんな風にギャーギャー言いながら休み時間や下校時間を過ごしていた。

 いい加減、校門の前に車を置いて立っているのは怪しい。ましてや喪服。そろそろ出ようと車に戻る。

 車の中で手帳に挟んだ1枚の写真を見る。
 法要前に春那がくれたものだ。

「雫なら今までのスマホの快晴のデータを削除してそうだからね」

 見る勇気はなかったけれど、消してはいない。どこぞの鬼だと私を思っているんだか。

「はい。これはたぶん私のデータにしかないね。珍しくない?全員が、快晴が笑っているの」

 誰かに撮ってもらったんだろう。
 4人そろって教室で笑ってピースしている。笑顔ではなく爆笑している感じだけれど。

「あはは。快晴が笑っている。これは貴重だわ」
 私が言うと「でしょ?プリントしておいたから。快晴の分は仏壇に飾ってくれるって」
 
 手帳に挟んだそれを見てクスっと笑う。

 次はいつ快晴に会いに行こうか。
 とりあえず資格が取れたことはさっき法要で報告できたから、就職決まったら絶対に報告だし、あとは……。

「って、別に用事がなければ会えないわけじゃないんだよね」
 言葉に出して、今度はアハハハと声を出して笑った。

 蓋は開いた。
 認めるのは時間がかかる。
 だからこそ、理由がなくても快晴にたくさん会いに行こう。